ちょこころねの日記

ちょこころね

毎日の中で感じたことや考えたこと、
興味のあることをつらつらと書いています。

姫は大忙し~魔王と姫~

自作小説

しばらく時間があいてしまいましたが、久々に魔王と姫のお話を書こうと思います。

前回はこちらです
https://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1640941&aid=72122817

魔王は紫の魔女の度重なる嫌がらせに対して、お仕置きとして彼女が使っていた使い魔たちを自分の城へと迎え入れたあとのこと、魔王
城では大変なことが起きていました。

「あとどのくらい作ったら終わるかな?」姫は肩をすくめて軽くため息をつきました。

「姫様~!もう食材がございません。どうしましょう?」と魔王の手下のフェネックが叫びました。

「まだたくさん料理を作らないといけないのに~!
どうにか食材を手に入れて欲しいんだけど・・・」姫は両手に山盛りの料理を一生懸命に支えつつ、お城の天井を見上げながら考えました。

そもそも魔王が立てた計画で、この状況になっているんだから、これはもうやってもらうしかないわね。
「魔王に食材を増やしてもらうように頼んできてもらえるかしら。多分嫌な顔をされるかもしれないけれど、仕方ないわね」

「そうですね、姫様。魔王様にお願いしてきます!
あれだけの数の者たちの食事を作るんですから、今までと同じ量では足りるはずがないんです

「大至急お願いね!」
姫はフェネックと話し終えると、急いで新しく入って来た使い魔たちの住む搭へやってきました。

「はい、順番に持って行ってね。
皆が食べられる様に準備するから喧嘩しないで」
右手には大盛のピラフ、左手にはシチューを持って姫は料理に引き寄せられるようにして集まる使い魔たちに優しく言いました。

そういえば、魔族は人間の様な食事はいらないって聞いた事がある気がするんだけど・・・そう思いながら、いつ終わるとも知れない料理と配膳を繰り返していました。

しばらくすると廊下から魔王がやってきました。
「なにやら騒がしいようだが、どうした?」
魔王はのんきにそう聞いてきました。

「あなたが昨日迎え入れた使い魔さん達がたくさんいるから、料理も配膳もまだ全然終らないのよ」

「使い魔に料理なんぞやることはない。
姫もそろそろ食事の時間だから、そやつらのことは放っておいて来なさい」

「ねえ、魔族って人間のみたいな食事はしなくても生きていられるって聞いたけど、なんでこんな食べたがるのかあなた知ってる?
こんなに食べたそうにされると、食べさせてあげないとかわいそうに思えるし・・・」

「ああ、魔族は人間の様には食べなくても生きていける。
生命エネルギーは別の方法で確保できるからな・・・。
まあ人間の食べるものを食べられないことはないが、楽しみ程度で十分だな。
楽しみでそういう食事をするとしても上級の魔族くらいだ

「それなのに、この子達はなんでこんなに美味しそうに食べてるの?」
姫はそういった後、あることを思い出しました。
(そういえば、この子達が魔王城に来た時、確か魔王が作ったお菓子をフェネックが振る舞っていたような気がする・・・)
「もしかして、あなたのお菓子を初日に食べさせてあげたから、それで食べ物の味を覚えてしまったからじゃない?!」

「そうだったか?」
魔王は全く覚えていない様子でしたが、姫は使い魔たちが幸せそうに目を輝かせながら食べていたのを思い出しました。

「ということは、あなたがあげた食べ物が原因だったのね!」
姫は魔王の方をじっと見つめましたが、魔王は全く気にしていない様子です。

「別に食べずともどうもならんのだから放っておけばいい。
気にするな。料理が冷めてしまうから早く部屋へ来い」
そう言い終えると魔王はスタスタと部屋を出て行ってしまいました。

魔王のせいで、この騒ぎになっているのに全然気にしていないみたいね。何も感じないのかしら。
食事はともかく、これだけ大勢が城に住み始めたら世話をしなくちゃいけないことが色々あるのに。
(ああ、そう言えば彼は魔族だった・・・魔性に責任感を説いても分かってもらえるはずはないか・・・。)

姫はなんだか割り切れない気分になりながらも、使い魔たちすべてが食べ終わるまでは、自分の食事は後回しにしようと思いました。
調理場に戻って、もう何度目か分からない料理をしながら、姫はなんだか悲しくなってきて考え事を始めました。

魔王は自分の興味や目的があることには熱心になるけれど、
関心のないことには全く気にならないし何もしないのよね。
使い魔さんたちを呼び寄せたのも必要があったからだけど、
その後のお世話は全くなにもしていないし・・・。
フェネックさんと私が殆どしているようなものだもの。

私は直接関わりがなくても、やっぱり使い魔さん達が気になってしまうし、こんな時には何とかできることはしてあげたいと思ってしまう性格だから・・・。

魔王は元々こういう性格なのかもしれない。
彼は人魔族だし、魔物はこういった性質を持つのが普通なのかも。
けれど、近頃親しくなってきた気がして、彼は思っていたよりも優しいんじゃないかと感じ始めていたのは、私の甘い考えだったのかしら・・・
私の事も長い間見ていたから、興味があるから城に連れて来てこうやって世話をしているけれど、興味がなくなれば城から放り出されるのかもしれない。

考えてみれば私はさらわれてきた身なのだから、ここでの生活に慣れてしまってはいけない。
早く城に帰る方法を見つけなければ。

魔王の結界があまりにも強力で逃げ出すことはもちろん、反抗したり意地悪をする事すらなかなかできずに過ごして来たけれど、何かできることを本気で考えなくてはいけないわ。
家族やリアン、そして城のみんな、国の民達もきっと帰りを待っていてくれるはず。
お友達も心配しているだろう・・・。

姫はもうじっとしていないで、城に帰る為に何かをしようと決めたのでした。
つづく

冬の頃から考えていたお話でしたが書き上げることができました。その時期だったので料理もグラタンになっていたりします(´艸`*)
さて姫はこれからどうするんでしょうか。
お楽しみに~。

  • 結

    2023/04/18 21:40:16

    こんばんは。お疲れ様です~~~今日はおやすみなんです~~~明日は臨時勤務です

    お姫さまも大量に料理を作らなきゃいけないなんて

    大変ですね^^;。。。そういえば、昔、娘に

    聞いたことがあるんですよ^^
    ”もしもお母さんがいなくなったらどうする?(死んだらなんて意味が分からない小さい時でしたが)”

    ”あのね~~うんとね、いっぱいご馳走作っておいてくれたらいいよ!”って言っていましたっけ^^;

    大きくなって調理師の資格をゲットしましたが^^

    明日も頑張ってきます~~~(*^-^*)

  • 苹果(りんご)

    苹果(りんご)

    2023/04/16 20:45:58

    こんばんは

    お姫様も大変だ!
    だけど魔王さんの方にも、何か裏事情があるのかも……
    色々と想像してしまいます。
    読ませていただきありがとうございます♪

  • 銀

    2023/04/15 19:18:01

    使い魔達を下部にして、脱走できるかも!!?
    いったい、どうなるんだろ~!!!
    気になりまくっちゃいます(;^_^A

  • ಇJuneಇ

    ಇJuneಇ

    2023/04/15 19:00:16

    姫様と魔王の生活が楽しそうだったので、囚われの身ということを
    忘れてしまいそうでしたが。。。
    やはり分かり合うことは難しいのかな!?
    結末が気になります~~

  • ケイト☆

    ケイト☆

    2023/04/15 10:12:48

    なるほど―それは困った魔王さんですね。
    ちゃんと責任取ってくれないと。
    お姫さんもそっぽ向いて帰っちゃいますよ。

  • とまと

    とまと

    2023/04/15 00:29:27

    今回も楽しく読ませていただきました。
    両手の料理アイテムから、素敵なお話が出来ましたね。!(^^)!
    続きが楽しみです。♪

  • まこと

    まこと

    2023/04/15 00:27:01

    ようやく ご自身の置かれた立場を思い出された姫しゃま Σ(○д○;)
    城に帰ることを決心なされたご様子 ヽ(=´▽`=)ノ
    姫しゃまの あしたはどっちだ? (; ・`д・´)っ/

  • みかん

    みかん

    2023/04/14 23:21:21

    こんばんはw

    魔王と姫のお話し久しぶりに読めて嬉しかったです♥
    姫のこれからの行動が気になりますね~
    続きを楽しみに待ってますw

  • し~ちゃ❧

    し~ちゃ❧

    2023/04/14 23:04:22

    お疲れさま^^

    なんかお料理で めっちゃ腕の筋肉が鍛えられて マッスルマッスル(*´艸`)

  • 月雲

    月雲

    2023/04/14 22:49:32

    魔王と姫のお話、待っていました~(*^^*)
    美味しそうに食べる使い魔さんを想像して、ちょっとほっこりしてしまいました。
    魔王の真意は気になりますね~
    姫がこれからどうするか、とても気になります。
    また続きを待っていますね。