もふもふ0304

第7話 ほっくんのパン屋さんを探して 

日記

パン屋さんは姿を見られて焦っているようでした。

ほっくんの叫び声を聞いて、もふもふとチャイさんも店に入ってきました。
「今まで人がいなかったのに、次の瞬間この人がいたんだよ」
ほっくんの言葉を聞いて、パン屋さんは観念して話し始めました。

実は…この店の中には、時空の扉みたいなものがあるんだ。
荒唐無稽かもしれないけどね、そこをくぐると、キノコの森に行けるんだ。

ある時、どうしても掃除用具入れの扉を開けたくなったんだ。
不思議に思いつつ扉を開けたら、そこはきのこが生えた夜の森だった。
開けたのは真昼だったのにね。
でも確かに夜の森で、夜にしか生えない幻のキノコが生えていたんだ。
朝になると消えてしまう伝説のキノコ…私は夢中でそれを摘み取ったよ。
そして気が付けば、元の店に戻っていた。
扉を開けたのはお昼過ぎだったが、夕方近くになっていたな。

それから時々、きのこに呼ばれるように、あの森に行くようになった。
帰ってきてもほとんど時間がたっていないときもあれば、
かなり長い時間がたっていることもあった。
その時々で違うんだ。
いつあの森に呼ばれるかもわからないんだよ。
店を開けっぱなしにすることになるから、どうしようか悩んでいたんだ。
せっかく来てくれたお客さんに迷惑をかけるからね。
でもこんな話、誰にも信じてもらえないだろうし…。

「僕は信じるよ、だってこの目で確かめたもん」
ほっくんはいいました。
続けてチャイさんも言いました。
「私にいい考えがあるわ」