喫茶喫飯
スヌーピーの話ですが。
書き忘れていましたが、件の本のテーマは「禅」です。
スヌーピーのエピソードを、ひとつの禅語に置き換えて読んでみようと言うものですね。
喫茶喫飯
これは、お茶を飲むときはお茶を飲む、食事をする時は食事をする、それだけをしなさい、という言葉です。
あれやこれやと落ち着きのないことをせず、一つ一つの事を丁寧に、落ち着てい行いなさい、という意味ですね。
時と場合にはよりますが、私は食事中にテレビを見ることが好きではありません。
食事中に新聞を読んだり、スマホを見たり、マンガを読んだりも。。
良く出向く駅前の定食屋。昭和な感じのオシャレもへったくれもない、The定食屋、です。特段に美味しいわけでもなく、メニューのバリエーションもありません。それでも出向く理由は、ただ落ち着くという事と、隔週刊のビックコミックオリジナルを読みに行く、というのが主なところです。
じゃあ食事をしながら漫画を読むのか、といえば、基本的にはそれはしません。
ひとつは、せっかく人が作ってくれた料理を、心ここにあらずで食すような無礼なことはしたくない、ということ。
もうひとつは、落ち着いて食べ物と向き合いたいから。
先述の通り、そんな大層な料理は出てきません。
わたしのお気に入りは、豚の生姜焼きに、目玉焼きを一つ載せてもらメニューです。本当は目玉焼きは別売りで、二個セットで小皿に載って来るのですが、二つもいらない。ある時に、「ひとつだけでもいいですか?」と聞くと、良いよということになり、それ以来わたしが生姜焼きと目玉焼きを頼むと、自動的に生姜焼きに目玉焼きが一つ乗って来ることになりました。
そんな程度の何という事もない生姜焼きですが、今日のキャベツは新鮮だなとか、半熟気味の卵の黄身をなるべく均等に肉に絡めたいなとか、そしてなにより「美味しいな」としっかりと思いながら、食べ物を食べたい。
「丁寧に暮らそうとすることの心構え」
そんな言葉が、スヌーピー本の解説の中では出てきます。
いい言葉ですね。
服装の乱れは心の乱れ。
よく子供の頃に学校で言われたものですが、でもそうなのでしょう。
丁寧に暮らすことのできない人は、あたりまえの言い換えですが、丁寧に生きることの出来ない人です。「生きることの節度」と私は度々ここの日記で書きますが、近いところにある想いかなと思っています。
丁寧に暮らす、という事は、丁寧に暮らすぞ!と思ってすることでもないかと思います。
タイパ、という言葉が最近は出てきました。
言いたいことは分かります。どこかでそれを意識しながら動いていることは、私もあると思います。ただ、それはあくまでも何か目的があり、それを必要な条件で実行する際に必要な手段でしかないと思います。
世の中でいうタイパとは、それそのものが目的です。
短時間でたくさん見る、短時間でたくさん何々… 多くは情報の獲得に絡むことです。
なんでタイパが大切なのかと言えば、例えばたくさん情報が欲しいからです。具体的にそれを得てどうするでは、必ずしも、なく。Webやらを見ている時に永遠に垂れ流されるリコメンド情報。いわゆる「お勧め」みたいなもの。昔は、無い情報を目的をもってアクティブに取りに行くしかありませんでした。今は洪水のように押し寄せる情報に「ちょっと見てみたい」という微細な関心が怒涛ように生まれる。パッシブな情報の洪水と、パッシブな関心の噴出、そのセルフコントロールが出来なくなった時、「タイパ」という概念は生まれてくるのだと思います。
タイパは、なんの理解も促しません。なんの価値も生み出しません。ただただ消費を膨大に「こなす」だけです。
もちろん、時と場合によってはそれが大事なこともあるし、そういう情報の洪水の中から重要な何かを見つけ出すこともあります。ですが、それは「タイパ生活を基本としてはしない素養を持った人が、あえてタイパ的な情報接触を行った時」という前提付きです。
タイパは何も生み出さない、と言いましたが、それは何もクリエイティブというような大層な話ではありません。
定食屋のことで例えるなら、なんの変哲もない目玉焼き付きの生姜焼きの、素朴なあたりまえのおいしさに対して、きちんと美味しいと感じ、小さいけれど十分な満足をして店を後にする充足感。私の言った生み出すというのは、そういう日々の生活の些細なことに、些細な気持ちをしっかりと置き、その些細なことに向き合うことの積み重ねのなかで、丁寧に暮らしていく心地よさを失いたくない、というそれだけのことです。
犬は丁寧に暮らしていますね。
食べる時は、目を血走らせ、ガフガフ言いながら一心不乱に食べる。
寝る時は、死体かと見まごうばかりに、まさに死んだように寝る。
散歩の時は、歩く時はしっかりあるき、匂いを嗅ぐときは狂ったように嗅ぐ。
ひつひとつのアクションに一直線です。
え?
それはなんか違うんじゃないかって?
いやまあ、どうかなw
まもなく七月になる今頃になって、やっと蒸し暑くなってきました。
そろそろ犬くんのお洗濯は、週一かしらね。
ではでは。