どんぐりやボタンとか

ケニー

おれはよく浜辺や森の中、あるいは道端などで、落ちてるものを拾う。例えば、どんぐり、ボタン、貝殻、石、ちびた鉛筆、鳥の羽根、何かの部品、錆びた釘、などなど、ちょっと自分のセンサーに引っかかるものなら何でも。そして、それをコレクトして、部屋の棚の中にしまってある。

そんなふうに集まった自分の棚の中にある記憶や思い出、もしくは、新しい体験や、これからしたいことなんかをみなさんにシェアするブログです。

小人と素晴らしい夜 (6)

自作小説

森の中、ふくよかな木々の香りの真ん中にローレンス.ブコワスキーの家はあった。
頑丈にしっかりと作られた確かな年期を持つ、つやつやと美しいログハウスだった。
ドアをふたつノックすると、彼はドアを開けて笑顔で迎えてくれた。

ローレンス.ブコワスキーはやせて長身の老人だった。
彼の目は緑色でやわらかく深い水をたたえた湖のようだった。
高いかぎ鼻の上に繊細な銀色の眼鏡がひっかかるように乗っかっていた。
耳の上に残っている頭髪も銀色でやわらかく、ひたいから頭のてっぺんまで禿げ上がっていた。

彼は、長旅で疲れただろう、とすぐに外のバルコニーの大きなテーブルへと案内してくれた。
ログハウスの外のバルコニーのテーブルの真ん中には、すでに紫陽花が入れられた白い花瓶と、各椅子の前には人数分のワイングラスと、フォークとナイフ、ナプキン、その隣にバーベキューの準備が整っていた。
おれたちが来るのが楽しみでしょうがなくて、はりきって用意してくれたのだと言う。
彼は、家の中からワインクーラーに入れた赤ワインを持ってきて、
食通の間では赤ワインを冷やすべからずなどという言われがあるが、そんなことはないさ。あるていどに冷えてる赤ワインもうまいもんだよ。
と言いながら、なみなみと冷えた赤ワインをグラスについでくれた。

彼はおおらかな楽しい気持ちでおれたちをもてなしてくれているようだ。
バーベキューのイングリッシュラムはわざわざイギリスのケント州の友人から送ってもらったものらしく、いい香りのするやわらかく上等なラム肉だった。

食事の席での会話は互いに固いそぶりなど無く、とても素直で自然な形ではじまった。
まずは道中の出来事。
やはりなんといってもパリでオルセー美術館に忍び込んだところはおおいに盛り上がって話した。
ローレンスは目を輝かせ喜びながら話を聞いていた。
自分もぜひそんな経験がしてみたい。と言うので、ミルは、帰りは一緒にぼくたちのうちまで行こうよ。そして、またパリでオルセー美術館に一緒に忍び込むんだ!とはしゃぎながら提案した。
ローレンスはそれはいいアイデアだ。ぜひそうしたいな。と喜んだ。
彼自身もだいぶんワインを飲んでいるので、本気で言っているのか、どうにも見分けがつかなかったが、それはそれでけっこう楽しそうだな、っておれ自身も面白く考えていた。
そして、彼におれたちの住んでいるところを見せるのも悪くないな。と思っていた。

それから、おれたちの出会ってから今迄のことを話した。
ボッツェリーニのレストランで起きた事件のことも話した。
ローレンスは話がミルがナイフで相手の鼻を切り裂いたところで、おおいに賛同した。
ミルは正しい。と力強くミルの目を見てほほえんだ。
ミルは嬉しいようで、ずいぶんと饒舌にローレンスに話をした。
ときにつっかえながら、早口になりながら。

ローレンスは、こんなに楽しい夜は久しぶりだよ。
と高いかぎ鼻の頭を赤くてらてらと光らせながら言った。

それから、彼が小人と会い、一緒に生活をしたことを話してくれた。
静かに、しかし確かな実感を持った口ぶりで全てをよどみなく話してくれた。
もうすっかり日も暮れて寒くなってきてからは、いったん家の中へ入り暖炉に火をくべて、なおも冷えたワインを飲みながら話した。
そのとき、2本目の新しいワインと一緒に持ってきてくれた鴨肉の薫製はとてもとても香り高いとろりとした肉質の絶品だった。
その後に持ってきてくれたデザートは、薔薇とバニラを使ったアイスクリームで、これが手紙に書いてあった妖精リリーのレシピらしい。
驚くほど芳醇なコクのあるアイスクリームで、薔薇の香りがすみやかに鼻を通り抜けて行った。
おれもミルも感激して、レシピを教えてもらい、メモを取った。

彼の小人との生活は本を読んである程度わかっていたが(まだ十分に慣れていない言語の本なので、ところどころ理解していないところもあったが。)、それでもなおありありとした色と感覚をよみがえらせるような話であった。
それは彼自身が小人と暮らした期間のことを身体の中に十分な鮮度を保ったままで保存しているからであろう。
そして、今、話しながらそれをよみがえらせているのだ。
だからこそ、彼の目はいっそうの輝きを放ち、言葉はとても生き生きと話を形作っていた。

結局、おれたちは会ってから6時間以上もずっと互いの話をしていたことになる。
おれとミルにとって、とても素晴らしい夜になった。

そして、さらに彼は小人のことについての見解を話してくれた。
おれたちは3人ともちっとも眠くならなかったんだ。

  • ケニー

    ケニー

    2023/08/24 09:03:36

    うわ〜〜〜〜。。。。。それ本当にすごく真実味がありますね〜〜〜〜。。!

    特に、茶色っぽくて筋張っている。とか、目と鼻やよくわからなくて、しわしわの顔に驚いたような口が開いてることだけはわかった。とか、もう、ものすごい本当に存在しているってことがわかります!!
    それはもう、そうゆうもの(生き物と言えば良いのか、妖精と言えば良いのか、いや、たぶん、我々人間の社会には名称がまだ無いもの)ですよね。。本当に。

    え〜、今、おれの中にその子たち、(いや、そのおじさんたち?おばさんたち?)の姿形が結構リアルに想像できています。
    んで、その上で、彼らは、もしかしたら、haticoさんの言うように、別の世界/次元のような我々が認識していないスペースからたまたまちょっとはみ出てしまっていたのかも知れないし、もしくは、普段は我々には見えてなくて、堂々と歩いていたんだけど、え!?ちょっと、この人私たちのこと見えてるよねっ!??ヤバい!!!ってなったのかも知れない。

    前者の場合は、偶然で、後者の場合は、haticoさんのその部分の感覚が働いてしまっていたから。

    ヤバい、マジでこの話面白いです!
    見てみたいような見てみたくないような、怖いような楽しいような、不思議な感じです(^-^)

    質問に答えていただいて、ありがとうございました!
    例えば、妖精というのは、私たち人間のイメージする羽の生えていて、綺麗な女の子で、みたいなのではなくて、本来、haticoさんが見たようなものなのかも知れませんね。
    いや、妖精なのか??
    そもそも、たぶん、そうゆうものたちは、その一種類だけじゃないんじゃないか??

    う〜〜〜〜〜〜む、、、謎は深まる。。


  • hatico

    hatico

    2023/08/24 08:54:35

    追記
    見える 見えない に関しても、
    例えば色の違いを数百色識別できる人、数千色識別できる人が
    いるみたいに、同じものを見ても、とらえ方が違うのかな?と
    思うことが多いです

    私は割と色や形を細かく覚えている方なので、そういうのもあるのかなと。
    その代わり、人の名前は覚えるのが苦手です

    時々、他の人の目を通したら、どんな風に見えるんだろう?って
    思うことがあります

  • hatico

    hatico

    2023/08/24 08:44:05

    おかしな話扱いではなく、ちゃんと聞いてくれてありがとう!
    自分でも無かったことになりかけてしまっていた出来事で。
    いろんなことを見てきたケニーさんなら、驚かずに聞いて
    くれるかもと思ってお話ししました。

    ちなみに普段眼鏡をかけてます もちろん運転の時も
    (確かに、これが寝起きの出来事ならば、ぼやけてて怪しいですね!)
    小人は服は着てないか、茶色い服を着ていたかどちらかだと思います
    髪の毛や体毛も無いか、茶色なんだと思います フサフサした感じは
    無かったです とにかく全体的に濃い肌色~茶色っぽくて、しわっぽくて、
    筋張ってる感じでした なので裸だと思ったのですが、細かいところは
    見えなくて裸と言ってもいやらしい感じは無かったので、もしかしたら
    茶色い何かを着ていたのかもしれません

    若い可愛らしい感じというより、割と歳をとった大人の小さい人で、
    顔の大きさの割に目と鼻はよくわからなくて、しわしわした顔に
    驚いたような口が開いていることだけはわかりました
    「わわわ~!」みたいに二人とも慌てふためいて抱き着いて
    どうしよう?どうしよう?逃げよう~~みたいな


    確かに、普段使っていない能力ってたくさんあるかもしれないですね
    火事場の馬鹿力みたいな緊急事態じゃなくても、ひょっこりその
    能力が意識せずに出てきちゃうときがあってもおかしくないですよね
    目に映ったものが全部同じ人に同じように見えるとも限りませんしね
    自分でも不思議なことがあるもんだなあ~って思います

  • ケニー

    ケニー

    2023/08/23 09:00:15

    お〜、しっかり細かくお話ししてくださったのは、これが初めてなんですね!
    嬉しいです〜!!

    なるほど。
    おれもhaticoさんの考え方にちょっと似ています。
    ただ、おれの場合は実在している存在はあって、それは別次元ではなくて、同じ次元にいると思っています。
    ただ、人間は人間の概念(もしくは常識と言い換えても良い)があるので、例えば、昔の人たちが太陽が地球の周りを回ると信じていたように、その事実に気づくことができないのではないか?と推測しています。
    この世は、物質でできていて、地球の外には宇宙があって、というその科学的証明も事実ではあるけれど、それは事実のほんの一部に過ぎないのではないか?私たちはまだほんのわずかの事実しか理解できてないんじゃないかな?って思うんです。

    だから、よく霊能力や透視などを「第6感」というけれど、いやいや、6どころか、その「感」は無限に億や兆以上もあって、それを人間たちは使えてないだけなんじゃないか?って気がします。
    そして、haticoさんはその時、たまたまhaticoさんの中にある第245番目くらいの「感」がなんかのきっかけでちょっと開いてて、その時にたまたま、小人ちゃんたちが居合わせてしまった。という偶然が重なったのかな?って思いました。

    ↑これ、おれの超個人的な考えですので、あしからず(^-^)

    とにかく、本当に楽しい体験談を聞かせていただいて、ありがとうございました〜!

  • ケニー

    ケニー

    2023/08/23 08:53:19

    haticoさん、

    まず、そんな貴重なお話を教えていただいて、ありがとうございます!!

    そして、はい、了解しました。
    ちょっとカフェでお話しするみたいに、そのことについてお話ししたかったのですが、ご事情わかりましたので、全然大丈夫です!

    ガッカリするどころか、興奮してます!
    文章から、haticoさんが本当に経験したことなんだろうという実感が伝わってきました。
    つまり、それはhaticoさんの夢とかじゃなくて、現実に見たことなんだって感じます。
    例えば、もしも、haticoさんがすごく目が悪くて、メガネをかけて無かったなら、それで木の葉や何かと見間違えた。という可能性もあるとは思うけど、もし目が悪くても車運転する時にメガネをかけないはずがないと思うんです。
    まあ、それより何より、やはり、haticoさんの文章から事実である味がするので、本当なんだろうなあ、と思っています。

    その小人たちは、服は着ていましたか?
    あと、髪の毛はあったのでしょうか?
    なんか、いろいろめっちゃ気になります!

  • hatico

    hatico

    2023/08/23 07:25:51

    小人の話をしたのはたぶんほぼ初めてだと思います
    もちろんこんなに詳しく話したことは一度もありません。
    家族にだけチラッと小人みたいのを見たと言ったような気もしますが、
    心配されると思って、まさかね~木の葉かなんかだよねって
    ごまかしたような気がします
    誰かに聞いてもらえてうれしいです(*'ω'*)

    ちなみに私は妖精も宇宙人も幽霊もいると思っています
    私の生きている次元のすぐ横には違う次元がいくつもあって、
    たまたまこちらの次元にうっかり出ちゃうことがあるのかな?
    もしくはたまたまあちらの次元が見えちゃうときがあるのかな?って感じています

  • hatico

    hatico

    2023/08/23 07:24:06

    ご招待ありがとう!
    私はニコタに来るのは不定期で時間もあまり居られないので
    なかなかタイミングが合わないと思うので、日記や伝言板での
    交流だけをしています(*'ω'*)

    そこで本題、小人のお話です
    全然綺麗とか可愛いとかロマンチックな感じじゃなくて、
    ケニーさんはガッカリしちゃうかもしれないな

    10年くらい前に、早朝の仕事をしているときがあって、
    三時半くらいに家を出て車で出勤したときのことです
    うちのマンションから小さな公道に出る前に大きな坂と曲がり角が
    あるんですが、曲がり切ったところでヘッドライトに照らされて、
    ちょっと濃い目の肌色の小さな物体がチラチラと動いていました

    なんだろう?何か小さな動物?と思ってよく見てみると、
    推定10~15センチくらいの裸の小人二人が、ヘッドライトに
    驚いたのか抱き合うようにして慌てふためいて5秒くらい
    ワタワタしてから、ヘッドライトに照らされてない方へ走って
    逃げて行きました

    顔はあまり良く見えなかったのですが、口が開いていたので、
    ワタワタした動作と併せて驚いているんだと思いました
    身体に対して顔が大きくて、なんとなくシワが多かったように見えました
    男なのか女なのかはわからず、その時は抱き合っていたからカップルかと
    思いましたが、良く考えたら、女の人同士なんかはびっくりしたり
    喜んだりしたときに抱き付くなんてこともありそうだと思ったりします

    引き返してもう一度見ようか?と思ったけれど、逃げて行ったし、
    時間に余裕は無いし、なので不思議だなあと思いながら出勤しました

    今でも、あの時一回きりなので、何かと見間違いしたんじゃないか?
    例えばちょっと大きめの茶色い木の葉がたまたまつむじ風みたいなのに
    当たって一か所に留まり、縦二つに並んでクルクル周って踊るようにしてから、
    飛んでいったとか?いろいろと考えてみたのですが、小人二人が慌てふためいたあとに
    走って逃げたことを覆すほどの状況になるには不自然なんです

    長くなってしまったけれど、もう少しだけ続きを聞いてください

  • ケニー

    ケニー

    2023/08/20 07:44:13

    haticoさん、

    うわ〜〜〜〜〜!!!!!!
    すごいです!!!
    めっちゃ、羨ましいです。。(涙)

    おれ、この小説以外の小説にも精霊とか、妖精などといった類のものが登場するのですが、それはおれ自身が、たぶん、そうゆう存在ってあるんだろうな〜ってなんとなく思ってるからなんです。
    なので、みた事があるというのは、本当にうらやましい。。

    お時間ある時に、おれんちにご招待してお話ししたいです〜。
    今、おれの部屋は南国チックになってます〜。

  • hatico

    hatico

    2023/08/20 06:51:47

    小人の話、とても楽しく読ませてもらってます
    というのも、これは人にあまり言ったことのないことですが、
    実は私は小人を見たことがあります
    (頭がおかしい人と思われるので言わないようにしてますww)
    私はちょっと変わっていると自覚はあるので多少頭がおかしいかも
    しれませんが笑

    一度きりでしたので、今でももしかしたら夢だったのでは?
    とわからなくなります

  • ケニー

    ケニー

    2023/08/20 01:39:42

    確かに。
    おれも常温で飲む時もあるし、冷やしてるのもうまいじゃん。って思ってました。

  • ルルルのル^^

    ルルルのル^^

    2023/08/19 13:46:16

    美味しそうです〜

    赤ワイン、冷やしても美味しいです^^