ゲシュ崩ログ 334 今更だけど鬼滅の刃
鬼滅の刃が流行って連載終了し終わって随分たつのに、今更ながら鬼滅の刃を本腰いれて読んでみた。そしたらめっちゃ面白かった。まだ全部読んでないけど、時間が許せばもっとしっかり全コマ見たいな~と思った。この漫画は絶対売れなきゃダメだ!というような読後感になった。吉原編という大切だけどセンシティブな内容が間に挟まっているので、どうも幼児向けとは言い難い作品だから、小さい子が見るのでは無いかなと思うけれど、小さい子もいずれ成人するわけなんだから、思春期になった時に子供が読む漫画として勉強するには最高なんだろうなと思いましたよ。
最初見た時、鬼滅の刃という作品の、「絶対に鬼が確実に存在している世界」という設定が、なんだか突拍子もなく感じていました。こんなに平和な日本で、こどもの読む物語にしかでてこないような、鬼という存在が絶対いる世界、という設定が、なんだかあまりピンとこなくて、夢物語だよな~と思っていました。
でも、いいとしになって大人になって読み返すと、絶対に鬼がいるという事を安易に誤魔化さないで、現実味の薄い安心しかない天国みたいな妄想上でしかありえない世界を描いた作品よりも、鬼滅の刃のように「常に悪鬼の存在を見失わず戦う」という事がいかに大切かという事を徹底的に描き切った作品を読んで、これは大人になりたい子供とか、大人として責任とほこりを持ちたい人は読むべきなんだ!と思うような、大人向けな作品なのかなという気がしましたよ。子供向け漫画なんですけど、大人まで楽しめるというか。吉原とか出てくるから、やっぱり大人になりたい人とか大人向けなんだと思う。堕姫というキャラクターは個人的には一番タイプというか、もうあんな鬼がいたら鬼ってわかっても鬼と思えないだろうなぁという、物凄く考えさせられるキャラクターで、それにかわいそうで、かわいそうで、号泣でしかなかった。でもだからこそ、鬼って怖いよな…って思うわけで、そういうのってでも、作り話でフィクションなのに、それなのに、そういう嘘の物語を読んで、物凄く面白いし、なぜか現実世界にフィードバックできるものを感じるのは、一体なんでなんでしょう。でもそうだとしか言いようがないですよね。
きめつのやいばに出てくる鬼って、なんだろう?って思うと思いますけど、私の個人的な考えですよ?私の個人的な受けた印象としては、鬼というのは自分の中にいるもので、自分の中の鬼と戦うというストーリーだったんじゃないかな~と、私は凄くそうとしか読めませんでした(笑)炭次郎と無惨の戦いは、同じ一人の人間を、善と悪で分けて両方の気持ちがせめぎあう戦いなんだ!と私は思えてなりませんでした。というのも、よくよく読んだら炭次郎と無惨ってけっこう共通点あると私には思えるからなんですけど。敵は自分!という事をこれでもかと思い知る漫画でした。個人的には。そういう戦いを描いたとしか思えなくて、炭次郎の戦いは、だからこそ絶対に突き詰めなくてはいけない戦いであり、そういう意味で普遍的で人気があるのかなと思いました。鬼殺隊と鬼の対比が割とわかりやすく描かれていたと思うので、そういった相対性の善悪をバッサリぶった斬った漫画家さんの心の強さには惚れるしかないですよ。何が善か悪かは揺るぐものなんですが、それでも、それでも一つの時代を血が噴き出さんばかりのペンで善悪を描いた作家さんの心意気に、ついつい熱中しちゃいますよ!