【お話】たかがお茶一杯。されどお茶一杯。
魔法はどこにあるのかって? こうしてお茶を一杯いれる、そこにも不思議や、物語が宿っているんだよ。
もらったステキコーデ♪:22
こんばんは。
夜だけの喫茶店にようこそ。
ここではお茶が一杯出るだけ。他には何もないよ。
つまらないって? ふふ、そう思うの?
君には見えない? 聞こえない?
命の光に満ちた大気。
妖精の女王の城のきらめき、楽師たちのフィドルの音。
星々や月の光が歌う、祝福の歌。
たかがお茶一杯。
されどお茶一杯。
心を込めていれたお茶には、何かが宿るものなんだ。
魔法は、躍起になって探すものの目には見えない。
だって、どこにでもあるものだからね。
待てないのかい?
そんな暇はないって? 本気かい?
お湯を沸かして、茶葉を蒸らす。
ほんの数分、待つだけじゃないか。
それだけで美味しいお茶が飲めるのに。その数分が待てないなんて、残念なことだね。
ああ、行ってしまった。
見逃してしまった魔法が、物語が。ここにはたくさんあるのにね。
君は残ったの?
じゃあ、ほら。
美味しいお茶をいれてあげよう。
ゆっくり味わって、くつろいで。思い出と、物語がきらめくよ。
妖精たちの祝福の音楽を、耳を澄まして聞いてごらん。
***
マーク・トウェイン(トム・ソーヤーの作者)の言葉に、お湯が沸くのを待っている時、やかんをじっと見つめてまだかまだかと思っていると、なかなか沸いてくれないけど、
やかんを無視して知らんぷりをしていると、すぐに湧いてくれるよ、というのをどこかで読みました。
ほかに公園の中で夜だけ開いている、不思議な喫茶店の漫画を読んだことがあって、
お客は人間以外の人たちばかりで、女子高生が紛れ込んでいる話で。作者名は忘れてしまいましたが、今でも覚えています。