【お話】ナイチンゲールと赤いバラ
恋に命をかけたナイチンゲール、恋など意味がないと投げ捨てた詩人。何が真実か、見る目を持っていたのは誰
もらったステキコーデ♪:18
オスカー・ワイルドの童話に、恋した詩人のために、命を捨てた小鳥の物語があった。
詩人は美しい令嬢が赤いバラを欲しがっていると聞いて、小鳥に相談する。季節は冬。バラの咲くはずもなく。
小鳥はバラに、花を咲かせてと頼む。バラは答える。
「あなたの心臓の熱い血を、わたしに注いで」
愛する詩人のために、小鳥は命を捨てる。
赤いバラを見つけた詩人は喜んで、美しい令嬢に花を贈る。
しかし令嬢は、別の人からもっときれいな宝石をもらったからと、拒絶する。
失意のうちに去った詩人は花を投げ捨て、恋などなんの意味もないと言う。
本当に大切なもの、美しいものが見えていたのは、誰?
小鳥は愚かだった。詩人も令嬢も、愚かだった。
けれど本当に美しいものを、最後まで見つめていたのは誰だろう。
物語には、少しの皮肉と残酷さが隠れている。
本当に美しいものは、どこにある? 今もそう問いかけながら、物語は静かにそこにある。
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お話、というよりエッセイ?
全身服、組み合わせするのにたまに、困る(^^; 黒を差し色にして、薄く透ける羽織を組み合わせてみた。
長い間、アンデルセンの話だと思っていたら、オスカー・ワイルドだった。ああ、そんな感じだよね……。
ワイルドにはほかに、幸福の王子、という童話もあって。あの話に出てくるつばめも、愛情から死んでいく。
どこか強い意志を持つ小鳥たちを思って、手に槍を持たせてみました。
相手を倒すための武器ではなく、自分自身の意思の強さをあらわすもの、ということで。