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りょうちんO

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鳴く犬2

自作小説






ある日、近所の人から苦情が来たと。 うちの犬の糞の匂いが臭いし隣の寮の人が裏抜け道に使っている場所に犬小屋があるので汚いので何とかし欲しいと云う内容でした。
なので家族で話し合い、誰も面倒が見れないなら保健所に持っていこうと親父が言い出したので

自分は、「 僕がやる! 絶対にこれから散歩にも連れて行くし、犬小屋の掃除もするから、捨てないで!」って言ったら、
じゃあ、餌は今までどおりお母さんがやるから、あんた散歩に連れて行きなさい。できる?

親父は「本当の本当にやれるなら犬は連れていかないが、その代わりしっかり面倒みろよ! できるのか?」

「絶対にやる!」その時は、もしでき無かった時には切腹しても良いくらいの気持ちだったのでそんな簡単な事できない訳が無いと思いながら
早速、犬小屋まわりの糞やこびりついた土、ダンゴ虫やゲジゲジが出てきても頑張って掃除して、散歩も家の周りを少し連れて行ってやりました。
犬は最近あまり散歩に連れて行ってもらってなかったので、ここぞとばかに飛び跳ね喜び、小学生の自分なんかグイグイ引っ張られてもう帰ってきた時にはくったくた。
飲み物しか喉を通らないのに、母親は洗っちゃいたいから早くご飯を食べなさい!と
それが終わったら、学校の宿題! 
間髪射れず、親父が、おーい湯が冷めるから早く風呂に入れ!と

そして2日目もとりあえず散歩に連れて行きました。勿論犬は上機嫌

さらに3日目・・・だめだ身体が動かない 行った事にしよう

4日目、今日も行ったふりだけ

・・・とうとうまた行かなくなりました。しかし、家族の誰もその話題には触れなかったので、まあいっか。明日行こう
っと云う日々が続きました。



あるとき学校で友人が「おい、こないだ野良犬が保健所に連れてかれたってよ。もうその犬はライオンの餌だな!」
「え?殺されるの?」 「お前知らないのか?そんな犬誰が餌やったり面倒見るんだよ?」

早速、帰って来てその日は散歩に連れて行きました。
しかし、次の日は雨 さらにもう葉っぱの色も茶ばんでくる季節には、手足耳も冷たく日が落ちるのも早い。半ズボンから出たひざ小僧は白い筋がいっぱい入って耳のフチも真っ赤
今日は寒いから散歩やめて明日行こう・・・
とうとうまた散歩に行かなくなりました。 もうその事を考えるだけでも憂鬱になり脳味噌の中から忘れ去ったと無理やり思い込もうと
でも、自分が言い出した事 できない自分が腹立たしい!!

悔しい! でもできない! 糞ったれ! だけど身体が動かない! こん畜生め!


数日後に、やはりまた近所の人から苦情があったらしく親父が、「もうできないなら保健所に持っていく」

っと言ったので、泣きながら 「 やめてー 殺さないで 自分が悪かったから もう絶対嘘はつきません。だから保健所だけはやめてー 」

「本当にやれるんだな! じゃあお父さんが近所の人には謝っておくから、しっかりやれよ!」

正月、皆が親戚一同集まって楽しく豪華な食事をしている時でも、雪の中散歩に行きました。

しかし、結局それも1ヶ月も続かず、2日に1回になり3日に1回になり 特に冬場は厳しく朝布団から出る事だけでも大変なのに毎日帰ってきたら散歩は、やはりとても出来ませんでした。





ある日、学校から帰ってくると、犬小屋の中は空でした。

ぼろぼろになった毛布と、餌ばちだけを残して。





それをランドセルをしょったまま、ただ見ながら、初めてもらって来た日の事や、校庭でボール遊びをして遊んだ日々の事を思い出しました。




が、涙は出ませんでした。




平成29年 6月23日