恋路そのⅡ
私は、彼の話を聞いて、最初、この人、大丈夫かしら、と思ったんです。顔は美男子、脚もムキムキ。だけど、少し頭がオカシイじゃない、と思ったんです。(我とそれ)、(我と汝)って、何それ。けど、(汝)を(あなた)に置き換えたのね。
そしたら、宮古島から北国への旅の途中に立ち寄る、南房総、そう、ここの皆さんの事が思い出されて。このように種を超えて、人、動物、植物、昆虫、その他生命同士、話をしている。改めて考えてみると、とても、不思議な事です。
これは、お互いに、深く広い大きな心で接しているから。彼が言うのは、この感じなのかな。
そうしたら、小難しくて理解不能と、何かモヤモヤしていた頭の中が、スッキリと。ストーンと、落ちたんです。同時に、恋に落ちたんですネ(笑)。彼に後光が差しているように見えました。それから彼のことを(光様)と呼んでます。
函館に着いたのは、午後3時頃。それからは、その夜に停まる予定にしていた、五稜郭を目指しました。二人で、空高く舞い上り、滑空を。少しづつ、太陽が西に傾き、オレンジ色に輝く夕日の神ごうしさは、一生忘れないでしょう。
五稜郭の桜は、正に真っ盛り。二人して、桜の花の蜜を、十分に頂きました。満腹になって、さくらさんの枝に宿を頂き、そこで、色々なことについて、心ゆくまで、話をしたの。
勿論、生きるとは、存在とは、死とは、等など、光様のお好きな議論が主だったけれども、軽い話もしました。例えば、この五稜郭で戦死した、新選組副長、土方歳三に付いてとか。最後まで、信念を貫き、真っ直ぐに生き抜いた、その男気。それに魅せられて、全国からの女性ファンが参集してるとか。
下世話な話もしました。彼は、江戸時代末期、新選組入隊まえ、江戸にでて、さる呉服商(白木屋?)で働いていた。そこで、若女将と問題をおこして、クビになったとか。故郷、武蔵野国の日野郷での、府中郷の大国魂神社くらやみ祭での、八王子郷の八王子同心との武勇伝等など。
彼も人の子、青春を謳歌(?)してたんデスネ。
その夜私達、桜さんの小枝に宿を借りました。
私は、逞しい、光様の脚に添い寝をしました。
⚪ワタシトヒカルサマワ、ソノヨ、ダンジョノチギリヲ、ムスビマシタ⚪⚪⚪⚪