なるべく気楽に気楽に~!

紫音-sioto

精神的な疾患を持ってる私の気楽に気楽に生きたい願望です~!
ちょこちょこ愚痴も入りますが、嫌な思いをされる方がいたらすみません><

柔くしなやかな月の下で

自作小説

第四章

煙草を吸い終えた私は仕事へと頭を切り替える。
「さて、仕事だ頑張ろう」そっと呟き、喫煙所を後にした。
自分のデスクに戻り、仕事へと取り掛かり始めた頃、同僚やら先輩やら後輩やらが「おはようございます」と続々と出社し始めていた。
一通りの挨拶を済ませ、私は仕事へと集中した。
隣のデスクから同僚の溝口から「おはよう、相変わらず早いね上河」そんな言葉を
頂戴しつつ、「おはよう、いつも通りだよ」と笑って返事を返す。
会社では唯一私があまり気を遣わない相手でもある。
笑顔で対応する事が私の強さだった為、「気を遣わない」というのはある意味違う気もするのだが。
「さ、仕事しよう」そう彼女へと投げかけて、私は私の出来る範囲の仕事へと向き合う。
皆がそれぞれの仕事へと取り掛かり始め、電話の音やら、声等が飛び交う。
私は恵まれた職場につけたものだ、と少しばかり休憩をする為、珈琲を淹れに席を立った。
私が朝飲んでいた薬は精神疾患だと診断された時に出された時の薬だった。
当時の私は今の会社ではなく、別の会社で働いていた。
公私共にボロボロの状態だった。
三年はそんな状態が続いていただろうか、珈琲を淹れながら私は昔を思い出していた。
珈琲が淹れ終った頃、溝口も珈琲を淹れに席を立っていた。
すれ違いざまに溝口へと「お疲れ」と笑顔で声を掛け、溝口はぐったりした様子で「お疲れ」と
お互いに言い合った。
溝口はきっと昨日も飲み過ぎたのだろう。
デスクへと戻った私は珈琲を一口飲んだ。
ここへと入社してから、5年は経っているだろうか。
「精神疾患を患っている」事を包み隠さず話した上で雇って貰っていた。
面接官でもあった私の上司は、「我が社は精神疾患の方に寄り添いながら仕事をしている」という
社長の方針なのか、ハッキリと伝えられたのだ。
「出勤日も上河さんの心の状態が良い時に少しづつ、増やして行って貰って結構です」と
なんとも有難いお言葉を頂き、入社当時は週に二日しか出社出来ずにいた私だったが、
根気よく、私を指導してくれたり穏やかな雰囲気の社風に驚いた事を今でも覚えている。
時間を掛け私は今、月曜、水曜、木曜、金曜の週に4日は出社出来るようになっていた。
後二時間で一服が出来る、そんな事を考え目の前の事で手一杯ではあったが、
毎日を充実する事が出来ていた。
時計は八時半を廻ろうとしていた。
「よし!」と私は仕事へと集中し始める。
私は恐らく、集中力が高いのだと思う。
溝口が私に「煙草吸いに行こう」と声を掛けられる迄十時になった事を自覚していなかった。
「あぁ、もうそんな時間なの?」…「そうだよ、相変わらずの集中っぷりだね」と溝口は笑って居た。
財布と携帯と、煙草ケースを持ち出し、「行こうか、お待たせ」と笑いながら
溝口と喫煙所へと向かった。
十時の休憩は十分毎の休憩があり、それが三十分の中に含まれる形だった。
様は十時半の間にそれぞれの十分の休憩を取れば良いのだ。
それぞれの休憩のタイミングがあるから、喫煙所は大体いつも空いていた。
溝口もいつも頃合いの良い時間に一服に誘ってくれるものだ、と感心する。
喫煙所へと入るなり「昨日も深酒しちゃってさ…」なんて他愛もない会話を始める。
私はその会話に笑顔で答えながら、煙草を取り出し火を点けた。
溝口も煙草を取り出しながら、「なんか最近お酒がないと眠れないのよね」そう言いながら、
煙草に火を点け、吸い始めた。
「大丈夫?…お酒も煙草もしてるなら、身体大事にしなよ?」なんて返しながら、
二人で会話を続ける。
私は、ほんの少しの沈黙の間に携帯の電源を入れる。
リム君から連絡はないだろうか、そんな事を考えて携帯を見たのだが、
連絡先を交換していなかった事に気付き、携帯から目線を外した。
あっという間に十分が過ぎそうになる頃、二人共煙草を吸い終えていて「そろそろ仕事しますか!」
なんて元気良く言う溝口を見て、笑った。
私は、「先に戻ってて…水買ってくるね」そう伝え、社内にある自販機へと向かう。
自販機に着いた私は財布から小銭を取り出し、水を買いデスクへと急いだ。
デスクへと戻ると、溝口から「お昼まで頑張ろう」と声を掛けられ「そうだね」そう答え、
仕事へとまた集中する事にした。
お昼になる迄はあっという間に仕事に集中していた様で、十二時を少し過ぎていた。
溝口はいつもの様に食堂へと私を誘った。
私には今日リム君が朝食用に作ってくれていたサンドイッチがあった為、
「今日はお弁当があるんだ、ごめん」と断りを入れ、「了解」とすんなりと受け入れてくれた。
人懐っこい溝口は、他に一緒に食べてくれる人を探す事は容易であろう。
「また、誘ってよ」…「うん!」そう言って溝口は食堂へと向かった。

  • .:*みん.:*

    .:*みん.:*

    2024/03/03 20:45:04

    子犬のように可愛らしいリム君
    わかってくれてそうな溝口さん
    主人公さん 恵まれてますね。
    でも 苦労してきたことが今やっと報われてきたのかも
    そうだったらいいな って思いました。
    煙草は仲を取り持ったり 時間を区切ったり いいですよね。
    まるでどこかの誰かの生活を読ませてもらっているようにナチュラルなお話
    いつもとても読みやすいです。
    リム君が作ってくれたサンドイッチがあれば
    仕事も励みになりそうですね。