戸惑い
日露戦争での勝利の褒賞として、日本国は
満州地域での開拓権を手にします。
ロシア圏と中国圏の間に位置する、このあぶなっかしい地域で
日本はおどろくべき速さで、インフラ開発を進めていきます。
西洋人が誰も成しえなかった、繁栄の象徴でした。
そして、宗主国による専制統治でもなく、共産主義による統治でもない
この地域の経済的発展は、彼ら(西欧)にとって妬ましい衝撃でした。
「こんなに儲かるなら、俺たちにも儲けさせろ。」
純粋に利潤と覇権追求なら、そういった力学とも考えがちですが
深く読み解くと、彼らにとっては、そういう事だけではありません。
「俺たちは事実上の奴隷制でもって搾取し、自分たちの栄華を手にする
考え方(帝国主義)に基づいてやって来た。」
「それが一番自分たちが美味しい汁を吸える方法だった。」
「だが、こいつら(日本人)はなぜ?こんなに見事に繁栄させられるんだ?」
「そして、参加してる連中からは不満は出てない・・」
「こんなやり方が、もし、アジア全土に広がって成功したら・・」
「俺たちは悪者として裁かれ・・、駆逐される・・・」
彼らに起こったのは「戸惑い」でした。
「ほら、日本も帝国として認めてやったんだから、お互い
ウィンウィンで搾取していこうぜ、よろしくな。」
と、言ってやっていたら日本は自分達と同じやり方はしなかった。
日本には古来より「八紘一宇」という精神があります。
一言でいうと、(家族のように)
仲良く助け合うことを良しとする。という意味です。
たとえ、地位、身分、力、収益の差、はあったにしても、基本的に
日本人の心の奥底にある「信念」には、少なからず
この「八紘一宇」の精神が息づいています。
こんなことを理念とする帝国が、今まであったでしょうか?
これは、西欧諸国にとって決定的な「脅威」でした。