なるべく気楽に気楽に~!

紫音-sioto

精神的な疾患を持ってる私の気楽に気楽に生きたい願望です~!
ちょこちょこ愚痴も入りますが、嫌な思いをされる方がいたらすみません><

柔くしなやかな月の下で

自作小説

第七章

デスクに戻る前に、私はまた珈琲を淹れ仕事へと集中しよと思った。
珈琲を淹れながら「リム君…部屋に居てくれてるかな…」なんて事を考えている内に
珈琲は淹れ終っていた。
私は珈琲片手にデスクへと戻り、ほぼ人の居ない社内で伸びをし、
「さて、やりますか」と呟きリム君の事を頭から抜くように仕事へと集中し始める。
気が付くと、時刻は20時を廻りそうになっていた。
集中し過ぎた、と思った私は珈琲の最後の一口を飲んだ。
今日はそろそろ帰ろうかな、と思った頃上司が私に「上河君、根詰め過ぎない様に」と
一言貰ってしまった。
「はい、そろそろお先に失礼しようと思います」そう答えると
「そうか、お疲れさん」と上司は私を労ってくれた。
「お疲れ様です」そう伝え、私は帰りの支度をする事にした。
私が帰りの支度をしている間に、上司は喫煙所にでも行ったのだろう、居なくなっていた。
バッグへと水を入れ、珈琲カップを片付け、ロッカールームへと向かった。
軽めの黒いコートへと袖を通し、明日は休みだとなんだかホッとした。
会社を後にした私は、近くの喫煙所へと向かった。
割と人もおり、落ち着かなかった私は会社で吸って来るべきだったな、とほんの少し後悔する。
会社も出て来てしまったし、仕方ないかと諦め半分で煙草を吸った。
煙草を吸いながら、リム君は何が食べたいかな…と考えたりしつつ、
好きな食べ物も知らないしな、どうしようか、なんて試行錯誤を頭の中で繰り返し
そう言えば、サンドイッチを作ってくれていたなと思い、
パンが好きなのかも、と私なりに答えが見つかった気がした。
帰りにパン屋へと寄って帰ろう、そう思い立ち煙草も吸い終える頃になっていた。
会社から、数分歩いた場所にパン屋があるのを私は知っていた為、
喫煙所を後にし、そのパン屋へと歩を進める事にした。
この時間帯に開いているかは分からなかったが、兎に角覗きにでも行ってみようと思い立った。
数分歩いてパン屋に着き、パン屋がまだ営業している事に感謝でしかないと思い、
入ってみる事にした。
流石にこの時間帯ではパンの数は少なかったが、お腹を満たすであろう位のパンは残っていた。
六種類ほどのパンがあった為、私は全部一つずつ選び会計を済ませた。
パン屋を後にし、私は彼が居るであろう部屋へと帰路に着いた。
いつも通りに帰っているつもりだったが、昨日リム君が月の写真を撮っていたのを
思い出し、歩きながら夜空へと目を向ける。
とても美しい三日月だったと共に、昨日とはまた違う光を放っていた。
「本当に違う光り方をするんだな…」と一人呟きながら、電車へと乗り込み
私の部屋へとの帰路が楽しみになっていた。
電車を降りた私は、自分の部屋へと急ぐかの様に歩き始めた。
リム君と話しがしたかったのだ。
私の住んでいるマンションにとても近いあの喫煙所も足早に通り過ぎ、
マンションの前迄着いた。
私は、自分の部屋を見上げる様に顔を上げた。
電気が付いていない事に焦り、彼は居なくなってしまったのか…と、
折角買ってきたパンを見つめ、仕方ないか…と思う他なかった。
私は気持ちを切り替え、エレベーターへと乗り込み、部屋の前迄ついた。
「はぁ…」と溜息を付き、鍵を開け部屋へと入った。
玄関には彼の靴らしき物はそこには無かった…。
「ただいま…」誰も居ない部屋へと小さく呟き、電気を点ける事もなくリビングへと向かった。
リビングへのドアを開けると私の目に入って来たのは
ベランダで丸まって煙草を吸っているリム君の横顔だった。
私は彼の横顔にホッとしたのと同時に「綺麗な横顔」に見惚れていた。
数分は眺めていただろうか…リム君はベランダから部屋へと戻って来ようとしていた。
私はハッとし、電気を点け部屋へと入ってくる前にベランダ越しに
「あっ!」と彼が言った様な気がした。
ベランダから部屋へと入って来たリム君は「おかえりなさい!すずさん!」と
笑顔で出迎えてくれた。
私も、笑顔で「ただいま、リム君」と笑顔で応えた。
「お仕事お疲れ様です!」にこやかに爽やかささえ与える様なリム君の笑顔にホッとした私は
パンの入っている袋を軽く持ち上げ、「何が好きか分からなかったからパン、買ってきた…一緒に食べよう」と伝え「わぁ!嬉しいです!ありがとうございます!」そう言って笑顔を向けてくれる彼に
安堵感を感じずには居られなかった。

  • .:*みん.:*

    .:*みん.:*

    2024/03/09 17:59:59

    パンに煙草にお月様に リム君
    繊細できれいで大切な宝物のようですね。
    いつまでもこんな日が続きますように。

    紫音さんのお話は読み始めるとあっという間です。
    続きが楽しみです。

    ゆっくりお時間ある時に無理をなさらず書いてくださると嬉しいです(*´꒳`*)