水仙
今朝も、強い風が吹いている。昨日は、瞬間的に約20メートルの強風が。黒松くんも、さぞ驚いた事だろう。幾つかの話題で盛り上がった、朝食中、後の語らいの時間を過ごしたあとで、私とチャムは、(サァ、朝散ー)と声を上げる。
私とチャムは、家で過ごす、家内とお蝶の(気をつけて)と言う声に送られ、連れ立って、ログハウスのドアを開けた。先ず、ベランダから、下に息づく、草木樹木達に、(オハヨウ)と挨拶を。
枇杷、柿、梨、グミ、椿、山椒、柑橘、等から
(おはよう)、(お早う御座います)・・・・・・・
明るく、元気な返事が返って来た。一安心!。
それから、ベランダを出て、坪庭の、ツツジ、モミジ、青木、八ツ手、水仙、春蘭、ウメモドキ、そして、周りを囲む、カシ、杉、檜、ナラ、柏、等に、それから、遠景の山々に、(おはよう)と、挨拶を。彼等からも、元気な返事が。
左側の階段を下だる。途中、青年クスノキと(おはよう)と挨拶を交わす。そして、下に降りきりクロマツ君との、ご対面である。
私 (おはよう。昨夜の強風、大丈夫だった?)
松 (オハヨウ。お陰さまで。大丈夫ですよ!。
でも、体が、凄く傾いて、折れるかと!)
猫 (大変だったんだ。無事で良かったね!。
でも、柔軟体操をしたと想ったら)
松 (冗談言うなよ。死ぬ思いだったんだから)
私とチャムは、その場を離れ、庭に足を踏み入れる。左側に、甘夏、ナツツバキ、右側には、ホソバ、ツゲ、等に、挨拶しながら進んで行く。そして、スイセンの群落に至る。私は、手に持っていた、簡易チェアを拡げて、(ヨイショ)と、一声出して徐ろに座る。横に寄り添うチャム。
私は、(おはよう。今年も、見事に咲きましたね!)と、言葉を掛けた。彼等からも、口々に、(オハヨウ)、(オハヨウ)・・。辺りは、何とも言えぬ芳しい香りに満ちている。何時しか、目を閉じて、瞑想に入る。至福の時である。
私は、この瞬間が好きである。
どうも、それは、真の私(本性)が、望んでいる事のようだ。何故ならば、理屈抜きに、幸福(楽しい)な気分に浸れるから。今、こうして至福の境地に浸れるのは、心が素直になり、(素)の(自分)を見つけたからだ。
チャムは、私の思いを聴いていたのか、(亀様)がこんな話をしていましたと、語りかけてきた。
⚪亀様の話し⚪
我々の世界は、見方により、二つになる。一方は、この目で見ている、物質の世界。もう一方は、想いの世界。本当に存在するのは後者だ。
この世界とは、(意味)の世界である。我々は、朝起きてから寝るまで、瞬時瞬時に、そこから意味を取り出し言葉に変換しながら、生きている。その言葉の中に、自分の思いを載せて、又、意味の世界に返してあげる。(無心になる)、とは、心を言葉に載せて、意味の世界へと、帰して上げた状態。その時、(幸せ)を感じるのだ。
私は、(なるほどね)、と、呟くのだった。