【お話】幻想の図書館
かつてあり、今は消えた図書館の幻想。ほんの少し時間をたわめて、まぎれこんでみた。
もらったステキコーデ♪:26
この図書館は、幻想なの。
かつてあり、今は消えた大図書館。
魔術師たちが集まって、図書館の姿を再現しようとしたんですって。
世界に刻まれた記憶にアクセスして、
そこにあった本の記憶を、集めた。
だから手に取ることもできるし、読むこともできる。
ただ、
ここに入る者に、制限がかかるだけ。
繊細な魔術をゆがめたり、知識を私して利用しようとする者には、
二度と扉は開かれない。
先人に敬意を払い、
集められた知識に、知恵に、敬意を払い、受け取ったものを世界に還元する意識を、覚悟を持つ。それができる人にだけ、ここの扉は開かれる。
ざっくり言うと、図書館自体の意識が入れる人を選別しているの。基準は時に、よくわからない。絵本を読みたい子どもが入れてもらえるかと思えば、すぐれた魔法理論を構築していた大魔術師が、突然入れなくなったりするし。
入るたびにドキドキするわ。
大丈夫かしら。わたし、次もまた入れてもらえるかしら。
あの本の続きはあるのかしら。また、読めるのかしら。
そんな風に思いながら、今日も幻想の図書館への道を探している。
***
多くの文明の都市にあった図書館。戦火に焼かれ、どれほどの書物が消えていったのだろう。
二度と戻らないそれらを、幻想の中に再構築する魔術師たち。そんな物語。