IHIの性能データ改竄
昨日、今日のニュースで目にとまったのは大手メーカーであるIHIの舶用エンジンの性能データ改竄のニュース。1980年代から続いていて4300件以上の性能偽装。
舶用エンジンというとオーダー品。一品製作に近いけど、顧客に性能と価格の見積もりを提出。顧客は性能と価格を見て発注する。だからメーカーはなるべく良い性能を安くという見積もりを提出する。競争が厳しいと性能をなるべく良い値を出したくなるモノ。しかし、契約性能が高すぎて設計で対応出来ず、望まれる性能を持つ製品が製造できない場合が多い。結果、品質検査部門で、計測性能値を偽装して契約性能を満たしているかのような成績表を作る、、、、これが実態。個人の判断で性能偽装なんて出来ない。品質検査部門が性能不良で出荷停止することは、営業、設計が許さない。経営者の判断で、組織的に性能偽装を行っている場合が殆ど。組織ぐるみである。日本では、建築事務所の強度計算偽装とか、自動車メーカーの排ガス性能偽装とか、強度不足品のクレーム隠しとか、過去にも数多くの不正がニュースを賑わせている。
今回のIHIは舶用業界での話だけど、実際に船舶用のポンプやタービンでも性能偽装は現実的に暗黙の内に行われている。90年代から性能計測を自動的に出来るようになっているけど、計測性能値は計測しながら隠しボリュームで必要な数値となるように調整可能であり、人為的に操作した数値を計測値として取り込んで、偽装された試験成績表を組織的にシステムで製作出来る様になっている。このような現状に対して、経営者は、製品に添付する成績表はお客さんに良い物を買ったと思わせる資料だから、数値の真偽に重大な意味は無いという。
これが現実である。
色んな会社のシステムや製造現場を見てきたけど、ハッキリ言って完全に正直に物作りをしている会社なんて皆無である。多かれ少なかれ、数値改竄、偽装ってのは現実には行われている。暴露されてないだけ。
最近は円安で、株価上昇しながらも不景気。貿易収支も赤字。日本の国際競争力は80年代以降低下し続けているけど、企業、特に外貨を稼ぐ製造業が技術的優位性を失っているのが理由かも知れない。競争力は高い性能をモノにする、、、そういう姿勢が製造業には求められているように思う。
自身、一年後には退職予定。雇用延長制度を利用して残ることは考えてないけど、物作りにおいて、IHIや勤務先が属している業界では、性能偽装等は実は当然に行われている話。散々見せられてきた。その度に嫌な気分になる。そんな業界で仕事をするのが嫌なのが辞める最大の理由。自分の特許で自分で作って売るモノは、性能絶対主義。値引きで受注を取るなんて考えてない。値段を通すために、絶対的に優れた製品を提供するというのが貫きたいスタイル。
性能を偽装しても罪悪感が無い経営者が多いけど、これって詐欺だからね。受けた性能に達しないのに金を取る、、、顧客を騙しているのである。詐欺犯罪なのである。そんな肩分を担ぎたくない、、、、これが自身で仕事をする動機だったりする。
壱源
2024/04/26 23:29:03
>>☼御社友理☪さん
こんばんは!コメント有り難うございます。
そうですね!価値観は人それぞれですね。でも、最低限の正義は貫きたいですね。
☼御社友理☪
2024/04/26 11:47:58
価値観はそれこそ人の数ですので
ご自分の信念を穿けば良いと思います
友理も莫大な火の粉がかからない限り、他人のやることに口を挟むのはやめました