お蝶の足跡
今朝は、本当に気持ちの良い青空が拡がった。
ログハウスの窓から望まれる、庭森の草木樹木達は、燦々と差し込む早朝の陽光を、気持ち良さそうに、浴びている。我がFamilyは、その光景に気分を昂揚させなから、Breakfastを楽しんている。
その最中に、ログハウスの窓際に、ピョン太が身を寄せて、何やら叫んでいる。私は、Doorを開けて、彼を中に招き入れた。彼は喋りだす。
(お蝶が生きているんだって!。ここに来ているんだつて!。)と、昨日のタカオと同様の言葉。
アオコには、そんなピョン太の言動に、タカオの時のような恐怖に似た驚きの表情は無い。何故ならば、ピョン太は、彼女にとって、ある意味で恩人。このログハウスに連れてきてくれたからだ。二人は、気心知れた親密な仲である。
私は、ピョン太に、事の経緯を説明した。
(アオコが、お蝶からのMessageを、皆んなに読んで聞かせてくれた。その中でお蝶は、○私は生きています。今も、恒に、皆様の側におります○、と言う言葉が述べられていた。それが、瞬く間に、この森中に、広まったんだ)
ピョン太は、私の話を聞いても、タカオの様には驚かず、極めて、冷静である。多分、○お蝶が生きていて、今も、ここにいる○という話をスンナリと受け入れて、それ程の違和感を感じてはいないのだろう。
私は、アオコとピョン太を、早朝散歩に誘いたいと考え、言葉を掛けた。
(一緒に、私の自慢、コーヒーを栽培しているHOUSEに行ってみないか!。今丁度、白い花が真っ盛りだ。お蝶はそこで美しく舞ったんだ)
アオコは、(是非、連れて行って!)と、せがむ。
そして、言葉を続けた。
○母の足跡を、辿りたいのです○
私達(私、チャム、クモ吉、アオコ、ピョン太)は、ログハウスを出る。アオコは、ピョン太の背中に、シッカリとつかまっている。その隣に
、クモ吉もアオコを守る様な姿勢で、乗っかっている。左手階段を下り、古道に出て右側へ。
そして、右に折れて、温室HOUSEの前に至る。
私は、扉を開けた。今、正に、真白いコーヒーの花が、満開である。約170本が、整然と、縦に五列に渡り植えられている。私達は、真ん中の列の、前から五番目のコーヒーの前迄進んだ。
彼は、ここの、リーダー格。私にとっては、森の樹木で、気の合う親しい仲間の一人である。
私 (こんにちは。元気そう!。花が見事です)
彼 (お陰さまで。花達も夫々元気にしてますよ)
私 (今日は、お蝶の子供、アオコを連れてきた)
私は、アオコを自分の手のひらにソット乗せて、ピョン太の背中からコーヒーの葉の上に移してあげる。お蝶と親しくしていたコーヒーの木は、込み上げてくる感情を抑えられないとでも言うかの様な表情で、優しい眼差しを向ける。
私は、アオコに、(生前のお母さんの事を聞いてみたら)、と、そつと囁く。彼女は、少し恥ずかしそうな仕草を見せながら、聞くのだった。
○母は、どんな感性を持った、どの様な蝶だったのでしようか?○
コーヒーの木は、暫し考えていたが、アオコに言葉を伝えた。
⚪深く広い慈愛に満ちていた。その生き様は、南から北へ、北から南へと、過酷な旅をする事で身に付けた哲学、と言っても、過言では無い。
心だけではなく、姿形が、本当に美しかった。
今まで私は、事あるごとに、色々な蝶に遭遇して来たが、間違いなく、あの美貌は天下一品⚪
コーヒーの木は、この言葉を語り掛けながら、アオコを優しく見つめている。