1985年北米版ナウシカを見た
いろんな意味ですごかったです。
「風の戦士たち」というタイトルで、スタジオジブリが、アメリカに版権を売って、吹替されたナウシカなんですが、
子ども向けのアニメ。ということで、二時間は長すぎる、と30分カット。また子供にわかりやすいようにとあちこち、設定が変更されており、
ナウシカの名前はザンドラ姫になっていた(←これはまあ、仕方がないかな)。
ユパさまは、ナウシカのおじさんになっていた(←どうしてナウシカたちと親しいのか、説明するためらしい)。
登場するたびに、ひたすらせき込むジルさま(←ナウシカの父。ひとこと話すたびにゲホゴホ。こういう表現しないと病人だとわからないと思われたのかなあ)。
そして、カットされた場面。
作品のテーマに相当する部分が、まるっと削除されている。
オープニングとエンディングが削除。
ナウシカが腐海の植物の研究をしている場面が削除。
腐海の意味とか、蟲たちの役目とか、そのあたりを語っている場面が削除。
その結果、
なんだかよくわからないけど、毒の森のそばに人類は暮らしていて、
心優しいザンドラ姫がいて、動物や虫たちに愛される能力を持っていて、
大国から戦争を仕掛けられたよ。
別の国が秘密兵器として、蟲を持ってきたよ。
森、いやだね! 蟲、怖いね!
風の谷がピンチだよ。
なんだかよくわからないけど、ザンドラ姫の不思議パワーで全部解決したよ。
……と、いう話になっていた。
全部英語に吹き替えられていたので、聞き逃したり、勘違いしたりしたところがあるかもしれないけど、なんかそんな話になっていた。
のちに、スタジオジブリが20年かけて版権を取り戻し、本来のナウシカを吹替などして発表しました。よっぽどイヤだったらしい。
ただ、この作品を子供のころに見て、心の支えにしていた人もいたようなので、
大事な部分をまるまるカットされてもなお、人の心にひびく作品だったのだなあと。あらためてすごいな、と思いました。