ぽん太

戦え‼ぽん家 ぽん家 離散する

日記

ドウム3兄弟を撃破した5人はポンデス城を進んでいた。次々と
現れる怪人達を撃破していったが、ぽみ平の顔が浮かない。

「親父、大丈夫か?やはりさっきの戦いがきつかったのか?」
ぽん子Ⅱが心配そうに尋ねた。

「いや、封印の宝玉が砕かれてしまった以上、どうしたものかと
考えておった。」

「さっきのあれか。あれは何なんだ?」

「それはσ( ̄∇ ̄;)が答えよう。あれはシュポンの叡智そのものだ。
ポンデスを封印した時、シュポンはその体を失ったが、叡智を宝玉に、
魂をクリスタルに変えたんだ。

以前親父が椪梯山の遺跡には4つの像があると言ってただろ?あれは
世界中にある本物の像と龍脈で繋がっていて、本物の像は星の力が
噴き出る場所、龍穴の上にあるんだ。宝玉に力を注ぎ込むと本物の像が
吸い出した星の力が龍脈を流れて遺跡の像に充填され、ピラミッドで
増幅して次元の狭間を形成して封印していたんだ。」

「じゃ、じゃあ、封印の宝玉がないということは…」

「ポンデスを封印することができないということぢゃ。」
ぽみ平は項垂れながら力なく答えた。

「くよくよしてても仕方ない。なるようにしかならないだろ。」
ぽん美が皆を励ました。

「それもそうぢゃな。とにかく先を進もう。」

気を取り直して先を進み、襲い来る怪人を撃破していったが、
ぽん太達は辟易していた。ぽん太とぽん美の強化装甲には索敵機能が
備わっているため、どこにいるかバレバレなのにそれに気づかないで
チマチマと不意打ちを仕掛けてくるからだ。

「あ~!チマチマ出てきやがってうっとおしい!」
ぽん美がボヤいた。

「誘き出す方法ならあるぞい。」

「本当か?有名どころだと口笛とかか?」

「いや、呪文ぢゃ。」

「その呪文とは?」

「『クッコロセ』ぢゃ。」

(*゚ω゚):;*.ブフォッ!エルフの姫騎士かよっ!
ぽん太は大声でツッコミたくなったのを必死に堪えた。

「ただし女性にしか使えんぞ。」

「じゃあ、使えるのはぽん美とぽん子Ⅱだけか。」

「「「「え?」」」」
ぽん美以外の4人の声がハモった。

「(╬◣д◢)アア?」

「「「「い、いえ…なんでもないです…」」」」

「じゃあ、いくぞ。クッコロセー‼」
ぽん美の図太いハスキーボイスが響き渡ったが何も起こらなかった。

「おかしいな。親父、この呪文間違ってないか?」
ぽん美が首を捻る一方で他の4人は心の中でやっぱりなと呟いた。

「じゃあ、今度はぽん子Ⅱがやってみるよ。クッコロセー‼」
ぽん子Ⅱの鈴の音のような声が響き渡った途端、

「ブーッブーッ」

「ブヒッブヒッ」

「ブモオーッ」

そこかしこから豚の頭の怪人が現れた。その様子を見たぽん美は

「て…てめえら~‼」
凄まじい威圧を放ちながら怪人達ににじり寄って行った。

その様子を見た怪人達は聞いてない、話が違うとでも言いたげな困惑の
表情を浮かべていた。

やがてぽん美から邪神と見紛う黒いオーラが吹き上がってきた。

「いかん!椪黒空間ぢゃ!みんな離れろ!巻き込まれるぞ!」

椪黒空間:
先斗琉拳を極めた者が使える椪黒闘気に包まれた空間。この空間では
術者の力が4倍になり、近距離の瞬間移動、姿を消す、上半身だけ
巨大化、口から火を吐くといった能力を発揮することができる。
椪明書房刊『愉快痛快結界君』より

バキッ!
「ブギャーッ!」

ドゴッ!
「ピギーッ!」

グシャッ!
「ブモモーッ!」

あまりにも凄惨な断末魔に4人は目を背け、耳を塞いだ。やがて
椪黒空間が晴れるとそこには返り血を浴びて全身が真っ赤に染まった
ぽん美とピクピク震えながら横たわる怪人達の姿があった。怪人達は
皆股間を撃ち抜かれて血みどろになっており、その様子を見たぽん太、
ぽみ平、ポンシロウは思わず股間をキュッと閉じた。

「さあ、行くぞ。」
ぽん美の呼びかけにみんな首を縦にブンブン振った。

再びポンデス城を進むも、今度は怪人が一切出なくなった。

「まだ暴れ足りないのに全然出てこなくなったな~。」

そんなぽん美のボヤきにぽん太は
あの戦いで怪人達が皆恐れをなして逃げて行ったんだよ!
と心の中でツッコまずにはいられなかった。

やがて禍々しい装飾が施された扉の前に辿り着いた。
「この先はポンダルキアのダンジョンという難攻不落のダンジョンと
いう以外は儂も知らん。」

ぽみ平は扉を開いて潜り、
「皆、気を抜くでないぞ。」

と気を引き締めた矢先に

ガシャッ

「なにぃ⁉」
ぽみ平の足元の床が抜けた。

「クッ!」
ぽみ平は必死に空中平泳ぎをしたが

「ぬおおぉぉ~~っ‼」
あえなく落下した。

「「「「お、親父~‼」」」」
4人は落とし穴を覗き込み、

「「「「…さらばだ!親父‼」」」」

「人を勝手に殺すな~!後で必ず追いつくから先に行け~!」

「親父もああ言ってることだし先に進むか。」

ぽん美の一言に誰も反論しなかった。何故かぽみ平にはドライな
4人であった。

足元の罠に注意しつつ先を進んだ先は下り坂の洞窟だった。

下り坂を降りる最中、
「何かでかい岩でも転がって来そうだな~。」

「やめろ!ポンシロウ!フラグを立てるんじゃない!」
ぽん太が諫めたが時既に遅く

ゴゴゴゴ…

(。´・ω・)ん?もしや…
後ろを振り向くと巨大な岩が転げ落ちてきた。

「ポンシロウがフラグを立てるからだ~!」
4人は脱兎の如く走り出した。

下り坂の洞窟を抜けた先は幅10m、奥行5m程度の広間でその先は
崖となっており、橋脚の無い岩の橋が架かっているだけだった。

「まずい!あんな橋じゃ岩の重さに耐えられん!」
ぽん太が悲痛の叫びを上げたその時、ポンシロウが大岩を受け止めた。

「ここはポンシロウが食い止める!ポンシロウに構わず先に行け~!」

「ポンシロウ~!」
ぽん子Ⅱが引き返そうとしたがぽん美が止めた。

「ポンシロウの行為を無駄にするな。ぽん美達は何としてもポンデス
まで辿り着かなければならないんだ。」

「わ、分かった。」

「「「さらばだ!兄弟!!」」」
3人は踵を返して走り出した。

橋を渡った先は広い空間で、突き当りの壁にある扉を開くと

「これはエレベーターか?だけど1人、詰めても2人までだな。」
ぽん美がそんなことを言っていると後ろの地面に魔法陣が現れ、
夥しい数の怪人達が浮き上がってきた。

「クッ!さすがにこれは数が多いか!」

ぽん美が迎え撃とうとしたが、ぽん子Ⅱがぽん太とぽん美を
エレベーターに押し込めた。

「ぽん子Ⅱ?な、何を?」

「ぽん太達はポンデスまで辿り着かないといけないんだろ?だから
ここはぽん子Ⅱが引き受ける。」
ぽん子Ⅱはそう言って微笑みながら扉を閉めた。

エレベーターが降りると凄まじい爆発音と衝撃が伝わってきた。

「ぽん子Ⅱ~‼」
ぽん太は膝を地につけ、扉を叩いて項垂れた。

「「さらばだ!兄弟‼」」

エレベーターから降りた先は白亜の宮殿のような場所だった。
怪人も現れることがなく順調に進んで行くと広い階段があった。
階段を上ろうとしたその時、突然ぽん美がぽん太を突き飛ばした。

「ぽん美?な、何を?」
ぽん太は後ろを振り向いた途端、目を大きく見開いた。

ぽん美の後ろには黒い靄のようなものがあり、そこから生えた
腕がぽん美を羽交い絞めにし、首に鎌を突き付けていたのだ。

「ぽ、ぽん美~‼」

「ぽん美のことは構うな!ぽん太は先に行け~!」
ぽん美はそのまま靄の中に吸い込まれて消えてしまった。

「ぽん美~‼」
ぽん太は暫く茫然自失としていたが、やがて気を取り直した。

「さらばだ!我が最愛の妹よ‼」
ぽん太は先を急いだ。

つづく