モリバランノスケ

続2・読谷村の小蝶

日記

今日も、朝から雲1つ無い青空が拡がっている。
Familyの面々は、各々が自分の流儀で、Breakfastを楽しんでいる。小蝶は、昨日、枯木シキミから聞いた、台風により約550年前この地に漂着したアランの言動から冷めず、夢見心地の様相。

小蝶は、そんな気持を振り切るつもりなのだろう。Breakfastが終わり談笑Timeが始まると、早速
、クイナに、(これから、ヤンバルの森に連れて行って頂けますか?)と、語り掛けていた。彼は
、(勿論、良いですよ!)と、快く受け容れる。
三者は、ログハウスの扉を開けてもらい、ベランダに出る。早速、樹木達に(おはよう)と挨拶。

それからは、クイナの案内で、ヤンバルの森へと向う。小蝶は宙を舞って、クモ吉はクイナの背中にシッカリと止まり、彼の後に従う。この森は、ログハウスの建つている場所と、景勝地残波岬の間に息づく、小高い丘になっている。

谷川に沿って、一歩一歩進んでゆく。川は、岩の間から、僅かに染み出す様になり、丘の上に近づいている事を知らせてくれる。間もなく、丘の頂上へ。三人三様に、そこに在る岩の上で小休止。周りは、遮るものが無く、素晴らしい見晴らしである。上がってきた後方には、読谷の部落が。前方には、景勝地の残波岬と燈台が、浮き立った。

小蝶は、クイナに、かねて聞きたいと思っていた事を質問する。

蝶 (どうして、ログハウスに同居して居るの?)

ヤンバルクイナのクイナは、過ぎ去った時を、慈しむ様に、話し始めた。

○ある夕方の出来事です。未だ、日が暮れて間もない時刻でした。辺りが、薄ぼんやりとしていたのです。私は、方向を見誤り、いつの間にか、県道に飛び出していたのです。丁度、その時、通り掛かった車に轢かれてしまったのです。

幸いなことに、ドライバーの方が、急ブレーキをかけた為、脳震とうを起こしただけで無傷でした。でも、約5日間程、意識は回復しなかったそうです。その運転手が、ログハウスの御主人だっのです。獣医師さんを呼んで、色々診断して頂きました。脳を始めとする、体の器官には
異状が見当たらない、として全快したのです。

私は、それ以来、Familyの一員に成りました。○

小蝶は、(そう言う事なのか!)と、心で頷きながら、改めて、残波岬の美しさに見惚れている。