戦え‼ぽん家 それぞれの戦い⑤SIDEぽん太
家族を失ったぽん太は一人ポンデス城を進んでいた。やがて
扉に辿り着き、扉を開けて潜るとそこは中庭だった。木々が
生い茂り、池の畔に木造家屋がある。
突如、正面からナイフが飛んできた。
「わっ‼」
ぽん太は横っ飛びで躱した。
「誰だっ!どこにいるっ‼」
「お前達を適切に処理できなくてここまで辿り着かれたことは
極めて遺憾である。お前は私が適切に処理してやろう。」
今度は横からナイフが飛んできた。
「わっ‼と」
ぽん太は辛うじてバックステップで躱した。
「私の攻撃を躱すとはなかなかやるな。誉めてやろう。」
ぽん太はサーチアナポンザーで敵の場所を探した。
「あの辺りだな。高さが分らんから適当に撃ってみるか。」
ぽん太が撃った光線銃が敵が立っていた枝を吹っ飛ばして敵が
落ちてきた。
「ぎゃふんっ」
木から落ちた敵はしこたま地面に打ち付けてもがいた。忍び装束を
纏い、顔はやや角形で顎が少し割れており、髪形はオールバック、
眼鏡をかけている。
「お前、ポンデス軍だな?」
「いかにも。ポンデス軍四天王筆頭、ゾーゼ・ダイスキーだ。
まぐれとはいえ、よく私の居場所が分かったな。」
「まぐれじゃないよ。ちゃんと見えていたからね。」
「嘘つきは政治屋の始まりだぞ。お前のような小僧に見えるはずが
なかろう。今度こそ適切に処理してくれるわ。」
そう言ってゾーゼは玉のようなものを投げた。着弾すると煙が
立ち込めて視界が塞がれた。やがて煙が晴れたが、そこにゾーゼの
姿はなかった。
「どうだ、小僧。今度は見つけられまい!」
ぽん太はてくてくと歩いて行って一本の木を指差した。
「ここだろ?」
「な…なんで分かった…?」
「ハデだもん。」
ぽん太が指さした木は一部が星条旗の模様になっていた。
「あっ!し、しまった!模様を間違えていた‼」
ゾーゼは慌てて布をひっくり返して木の模様を表にした。
「本来はこうなるつもりだったのだ。だが、バレてしまっては
仕方がない。今度はもっと高等な隠れ技を見せてやろう。目を
つぶって30数えるのだ!」
「1、2、3、4…」
ぽん太は木に頭を付け、両手で目を塞いで数え始めた。
が、段々鼻がむず痒くなってきて
( >д<)、;'.・ ヘッキシ!
思わず後ろを振り向いてくしゃみをしてしまった。
「「あ…」」
「と、途中で見るんじゃない‼」
その時ぽん太の目に映ったのは作り物の岩をかぶって隠れようと
していたゾーゼの姿であった。
「今のは本当ならこの作り物の岩の中に入って岩になりきる高等な
技だったんだぞ!」
「へ~。本物みたいだな~。」
ぽん太は岩をコンコン叩きながら感心した。
「こうなったらとっておきの隠れ技を披露してやろう。いいか!
今度こそ30までちゃんと数えろよ!」
□
「…25、26、27、28、29、30!」
数え終わって後ろを向くとゾーゼの姿は見えなかった。
サーチアナポンザーを使おうかと思ったが、
プヒュー、プヒュー
どこかから空気が漏れ出す音が聞こえてきた。
「何の音だ?」
音の方に向かっていくと池から伸びている筒から空気が漏れている
ようだ。
ふっふっふ。今度こそ見つかるまい。
ゾーゼは池の中に身を潜め、筒を使って呼吸していたのだ。
ぽん太は家の中に入って薬缶を持ち出し、筒の中にお湯を注いだ。
「ぶはっ!」
口の中に熱湯を注がれたゾーゼはたまらず池から飛び出し、舌を出して
悶絶した。
「あぢっ‼あぢあぢっ‼‼」
「み~つけた♪」
「このやろっ!危ないじゃないかっ!死ぬところだったぞ!
おのれ…私をここまで怒らせるとは…もう隠れるのはやめだ!
積極的に攻めさせてもらおう!」
そう言ってゾーゼはぽん太から距離を取った。
「私のスピードを見せてやろう。ついてこれるかな?」
ゾーゼは凄まじい速さで走り出した。ぽん太も凄まじい速さで
走り出し、どんどん差を縮めていった。
「げっ!な、なんというスピードだ!」
ゾーゼは慌てて金属製の棘をばら撒いた。
「いっ!」
棘を踏んだぽん太は痛さのあまり立ち止まった。
「いちちち…おーいて!」
ぽん太は座って足裏に刺さった棘を抜いた。
「わははは!これではお前もうかつに走れまい!」
ドヤるゾーゼとは裏腹にぽん太は再度家に入って下駄を持ち出し、
下駄を履いて走り出した。
「これならどうだ!」
「こ…こしゃくな…!」
ゾーゼは全力で走るも差はどんどん縮まっていった。
「くくっ!」
「追いついちゃうぞ~!」
ぽん太は苦悶の表情を浮かべるゾーゼを軽々追い抜かした。
「勝った!」
勝負がつき、膝に手をあて、肩で息をするゾーゼとは対照的に
ぽん太は花が咲いたような満面の笑みを浮かべてスキップしていた。
「へへへ~ん♪」
「おのれ~…貴様生かして返さんぞ~…‼」
ゾーゼは憤怒の表情を浮かべ、怨嗟の声を上げた。
「お遊びはここまでだ小僧。タヒぬがいい!」
ゾーゼは剣を携えて斬りかかってきた。
ぽん太は剣で斬撃を受けると同時に剣を後ろにいなし、そのまま
回転しながらゾーゼの後ろに回り込んで剣を払った。ゾーゼはこれを
屈んで躱し、振り向きながら剣を突き上げた。
ぽん太はスウェーバックで躱しつつ大上段から剣を振り下ろした。
ゾーゼはぽん太の攻撃を受け止めたが剣が折れてしまった。
「ああっ!私の名刀『菊正宗』が‼」
「今度はσ( ̄∇ ̄;)からいくぞ!」
「ひええっ‼」
ゾーゼは脱兎の如く逃げ出し、煙玉を投げて目くらましした。
視界が晴れてゾーゼを探すとゾーゼは丸い板を履いて池の上を
歩いていた。
「さすがに追ってこれまい!ちなみにこの池にはホオジロザメを
放してあるから泳いではこれんぞ!ざまあみろ!」
「では封印から解き放たれたσ( ̄∇ ̄;)の力を見せてやろう。」
ヒッヒッフー…、ヒッヒッフー…
ぽん太は両手を後ろに広げ、息使いを変えた。水面に足を付けると
足元から波紋が広がり、ぽん太は池の上を歩き始めた。
「‼」
ゾーゼは驚きのあまり言葉を失った。
「さあ、どうする?降参するか?」
「何をバカな!私が降参するはずないだろ!ピイーッ」
ゾーゼは口笛を吹いた。
「私のとっておきを見せてやろう。みるがいい!」
するとゾーゼの後ろから4人の分身が現れた。
「どうだ、小僧。どれが本物か分かるまい。」
ぽん太はサーチアナポンザーを使ったが全部本物と判断された。
「クッ…!何か使えそうな技は…これだ!」
ぽん太は腰のバックルのようなものから1枚のカードを引き出した。
カードには5人の変身したぽん太が描かれている。銃についている
デッキにカードをセットすると
『トリックポント』
抑揚のない機械音が響くとぽん太も5人に分身した。
が、分身したぽん太達は
「ベロベロバァー、オッペケペッポーペッポッポー」
「アジャラカモクレン」
「スイスイスーダララ、ギッチョンチョンのパーイパイ」
「ナンジャラモンジャラホニャラカピー」
突然とち狂い始めた。
そんな分身達がかなうはずもなくあっさり撃破されてぽん太に
戻り、そこでぽん太は正気を取り戻した。
「( ゚д゚)ハッ! σ( ̄∇ ̄;)は一体何を…?」
ぽん太はふとマスクの中のモニターに映ったメッセージを見た。
トリックポント:
使用者と同一能力の分身を最大で8体発動できる。
分身は自身の知能に従って自律行動する。▼
よく見るとまだ続きがあるようだ。続きを見ると、
ただし知能も分割されるため使用の際は注意すること。
そう。ただでも低いぽん太の知能を分割したため、分身達は幼児以下の
知能になっていたのだ。ぽん太はそっとメッセージを閉じた。
つづく
さくら
2024/07/11 19:35:46
こんばんは~♬ だんだんお笑いの要素が出てきましたよね^^;
優愛加
2024/07/10 23:20:12
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