なるべく気楽に気楽に~!

紫音-sioto

精神的な疾患を持ってる私の気楽に気楽に生きたい願望です~!
ちょこちょこ愚痴も入りますが、嫌な思いをされる方がいたらすみません><

深淵の中の蝶

自作小説

第十三章

部屋へと戻った私は明日がある事に安堵感を抱きつつも、心の高鳴りを鎮めようと必死になっていた。…私きっと悠さんが好きなのかも知れないという動揺が止まらなかった。冷静になろう、そう思い煙草へと火を点けた。深く深く煙を吸い込み深呼吸をする様にゆっくりと呼吸を繰り返す。…落ち着け、私…自分自身に言い聞かせるように、少しづつ彼への恋心を収める様にと務めた。なんだか不思議な感覚だ…。兎に角落ち着きたかった私は香水を纏う事にした。甘ったるい香水を選び、私はその香りを纏う。悠さんの体温が温かく、とても心地良かった事を思い出しながら、思いがけない彼への恋心に動揺してしまう私がいた。彼には伝えてしまうのだろうか…何だか不安要素も抱えつつ、私は煙草と香水の香りに酔いしれる様に考え事をしていた。少し、冷たい風を感じたくなった私は、ベランダへと出て、ひんやりとした空気を肌で感じつつ、冷静に考える事にした。
本当にこれは恋心なのか…抱き締められて意識してしまっただけではないのか…頭の中が纏まらないまま時間だけが只、過ぎて行く。空を仰ぐように真っ暗な外を眺め、止まらない思考にまた、煙草に火を点ける。咥え煙草をし、私の感情はどうなってしまったのだろうと無理矢理にでも冷静になろうとする。
冷たい空気感の中、少しづつ纏まりつつある思考は「私、きっと悠さんが好きなんだ」その考えを否定せずに受け止めよう、言葉にして発した事で私の思考は一旦纏まりを見い出していた。きっと、彼への恋人への想いも全てが素敵に思えていたし、「恋人さんの事をずっと好きでいて欲しい」のも事実だ。私の中で確信に変わる気持ちを私自身で納得出来る形で収めたかった。出来る事なら、彼にはこの気持ちは伝えたくは無いな、とふと我に返ったのだが…確信に変わってしまったこの感情を何処へ吐き出せば良いのか分からず、私は日記を書こうと思った次第である。すっかりと冷たい身体へとなってしまった私は部屋の中へと戻り、今年用に買ってあった日記にペンを走らせる。彼に対しての思いの丈を何時間も書き綴った。彼が恋人を失った事、涙を見せてくれた事、そして彼の優しい笑顔が素敵な事、諸々。書き出し始めると止め処なく溢れる文字達に私は素直に正直に書き連ねた。思い切り書き出した言葉達を読み返しては、何故か涙が零れていた私に気付いた。…どうして私泣いてるの?…まだ紐解けていない感情があるのだろう。私は少し疲労した身体に煙草と水が欲しくなり、休もう…とソファへと身体を預け、タンブラーに入れておいた白湯を一口、飲み込んだ。それと同時に煙草へと火も点け、深く煙を吸い込み吐き出していた。…一通り私の頭の中で渦巻いていた感情は文字にした…、それからの事はあまり記憶には残っていない。時刻はすっかり6時になっていた事だけは覚えている。疲労感を纏った身体に、ほんのりと甘い香りが漂う、薬でも飲もう…そう思い立った私は吸っていた煙草を消し、キッチンへと向かいしっかりと忘れないように準備してある薬を飲み干した。さて、そろそろ寝よう。明日はお鍋だ、美味しく作れるようにしようと思いながら、ベッドへと潜り込む。「私の明日はきっと明るいだろう」日記の終わりに書いた一言に想いを馳せ、眠りへといつしか落ちていった。