あなたに会えてよかった♪

けーすけ

なんでも思いついたことを書いてます^^

【第11話】シン・ラジオ・ガール

自作小説

「が 合宿… 天文学部が?」
俺はきょとん、としてしまった。

合宿と言えば、やはり運動部だ。
きっついトレーニングやら、練習試合やら、そこで生まれる部員たちの友情。

(ここからは俺の妄想ですw)

お互い自己主張が強すぎたあまり、そりが合わなかったゴールキーパーとストライカーが
ドロドロになったハードな練習の中で友情を育んで、みたいなね。

「はあはあ…パナ、お前のシュートはまだまだへなちょこだな」
「ぜいぜい…うるせえっ けーすけ。お前のカスなセービングなら、余裕でゴールだぞ」

「うっせーなぁ(笑) だがまあ…ちょっとはお前のシュート、認めてやってもいいぞ」

「ばかやろ、お前のセービングも、まぁ…認めてやってもいいかもな」


みたいなくだりがあって、
それで、練習が終わった夕方、汗みどろの二人が立ち上がって、視線が合って
照れ笑いしつつお互いの肩をたたき合うってな。


でもふと見ると、マッキーがなんだかランランと目を輝かしていてさ。
前のめりに乗り気なの。
言葉は発しないけど、ありありと分かるよ。

こいつ、合宿ってワードに弱いのか?

「そうですよ。私の友達のももちゃんが所属している調理同好会が、○○の別荘地で合宿するんです。それに相乗りしていけばいいじゃないですか。昼間は調理同好会の料理研究、そして夜は天文観測…ってナイスマッチングですよ!」
「ちょっとマテ。甲斐名都…調理同好会って、今年できたあの例のサークルか?」

冗談じゃない。
調理同好会って、1年女子ばっかり3人のサークルじゃねーか。
そんなとこと合同合宿なんかしたら、男は俺だけだろ。

力仕事や都合の悪い仕事、みんな押し付けられるんじゃね?
でもそんな本音を言うわけにも行かないので、俺は巧妙な断る口実を探したんだけど…なかなかないんだよな。

「こらこら、女子ばっかりのところに俺が一人参加するってのは学園も認めないんじゃ? 流石にヤバいだろ」

「槇村先生が顧問として来てくれたらいいんですよ。調理同好会は今年できたばっかりで、部活動として認められてないから顧問はいません。とりあえず槇村先生が二つの暫定顧問って感じで申請すれば、活動補助金も出ますよ」

なるほど、

てかこいつ、かなり前から計画練ってたな?

対処法が現実的だし、何といっても滑らかすぎるぞ、喋りが。

俺は追い詰められた。

「ん…でもさ、今から○○の別荘地に宿泊なんて予約できないだろうし…」
「大丈夫です!ももちゃんのお父さんの別荘ですから、宿泊はおっけーです。しかも宿泊料もいらないですし!」

えっ 甲斐さん、タダで泊まれるの?
そこにすごい勢いで口を挟んできたマッキー。やはりこいつは完全に乗り気だ。

「はい、交通費は必要ですけど、槇村先生のマイカー、エルグランドだから車出していただければ交通費も安く済みます。食事はないですけど、調理同好会が何とかしてくれますよ。材料費だけでいいと思います。それだって、天文学部の課外活動費が下りればおつりが来ますよ。課外活動費は1年に5万円まで認められますし」

緻密に練り上げられた、調理同好会との合宿案。
甲斐名都がここまで策士だとは知らなかったな。

「そうだな…私のマイカー使えば荷物も運べるし、○○別荘地ならここから高速道路使えば2時間ちょっとだもんね」
マッキーはちょっと目線を上に向けてそう答える。
「でしょ。こんなチャンス逃す手はないですよ。ね、先輩…?」

甲斐名都が何かものをねだるときの得意技、上目遣いで俺を見上げてくる。

だめだ。もう断れない。
断ったら、確実にマッキーの延髄切りがくるだろうし。

てかもう(ホントのこと言うと)面倒くさくなったんだよね。
「調理同好会は4泊5日で来月の頭に計画してるんです。決定ですよね!」

(続く