【お話】懐かしい響き。
あれは、いつのことだったかしら。思い出には、小さな魔法がきらめいている。
もらったステキコーデ♪:24
歌が聞こえた。
古びた本の1ページをめくった時に。
かすかに、遠く。でも力強く。
響き、響いた。花の香りと共に。
あれはいつのことだったかしら。
あの歌を、聞いていたのは。
歌っていたのは誰だった……?
いいえ、わたしも口ずさんでいた。
確か。確か、そうだった。
今、手元に残るものは何だろう。
色褪せたと思っていた、この本は。上着の飾りは。
それが、いま、
きらめきを宿したように見えるのは。なぜ。
思い出からやってくる、魔法のかけらにもう一度、わたしが気づけた。そういうことで良いのかしら。
そう、
魔法はいつだって、そこにある。輝きも、喜びも。
ただ人間が忘れてしまうだけ。気が付かないで通り過ぎてしまうだけ。
そうだったわね、おばあちゃん。
そうだったわね、なつかしい歌と光。
響き、響く。重なってゆく。
香り、香る。暖かく包み込まれる。
おかえり、おかえり、愛しい子。
呼びかけている。呼びかけられている。
輝きと喜び、平和と祝福。
歌う。重なる。命がひびく。
ただいま。
ただいま、友よ。
***
萩尾望都さんの初期の漫画に、妖精と遊んでいた女の子が大きくなって都会に行って、彼らとのことを忘れてしまった話があった。最後、戻ってくるけど、昔の友だちはもう見えない。でも自分の娘に、妖精はいるのよ、と話していた。切ないような愛しいような物語でした。
しの
2024/12/21 08:40:33
> 辰之さん
何とかストーリーをあげました(^^;
辰之
2024/12/17 20:35:32
楽しみに待ってます^^