温熱療法と10年後への期待
ギックリ腰から1日半となりますが、少しは良くなってきている気がします。
15時ごろからあまり動いていないというのもありますが、お風呂が効いているのかなと思います。
ギックリ腰後も家事やら犬猫の面倒で動き続けているわけですが、そいうすると痛みをカバーして体を起こそうと、一番休ませたい痛めた腰回りの筋肉を常に緊張させてしまうので、そこが固まって益々痛みが強くなる。
そこで温かい湯船につかって強制的に筋肉を弛緩させると、浮力で腰に負担がかからないということも相まって、風呂上りは本当に楽になる。風呂に入っておとなしくして、また風呂に入って…というのを2サイクルまわしていたら、少し楽になった気がします。
というギックリ腰自慢はともかく。
昨年末、全く知らなかった衝撃の情報を目にしました。
ポートエレン蒸留所が復活
目玉が飛び出るほどに驚きました。
ポートエレン蒸留所というのは、1980年代に操業を停止したスコッチウィスキーの蒸留所です。スコッチはスコットランドで作られるお酒ですが、作られている地域によってハイランドとかスペイサイドとか呼び分けられていて、味の傾向もざっくり地域によって特徴があります。
ポートエレンは、アイラ島という小さな島で作られていて、このアイラのお酒は、ウィスキーの味を表現するときによく使われる「スモーキー」なフレーバーが、スコッチの中でも特徴的に強いお酒です。アルコール度数の高いウィスキーである上に、さらに強烈な味と香りを特徴とするアイラのお酒は、ハードルの高いお酒の代表格かもしれません。
なのですが、わたしのスコッチとの、というかシングルモルトウィスキーとの出会いは、まさにこのポートエレンでした。
説明をしておくと、スコッチはスコットランドで作られる、厳格に法律で決められた仕様に沿って作られたウィスキーの総称ですが、スコッチには2種類のお酒があります。
ひとつは、大麦麦芽を原料とするモルトウィスキー。
もうひとつは、大麦麦芽以外にライ麦、小麦、とうもろこしなど複合原料で作るグレーンウィスキー。
製造のための蒸留方法なども異なるのですが、細かく書き出すときりがないので割愛。
ポートエレンは、単一蒸留所で製造されたシングルモルトウィスキーです。グレーンウィスキーは、よく言うと非常にまろやか、悪く言うと特徴のないウィスキーとなり、それ単体で飲まれることはあまりなく、いわゆるブレンデッドウィスキーの材料となることが多いと思います。ブレンデッドは、その名の通り複数のシングルモルトやグレーンを混ぜ合わせて造ります。
一般的に流通しているのはこのブレンデッドの方で、有名どころはジョニーウォーカーとか、日本のお酒だと角とかオールド(通称ダルマ)とかです。サントリーの白州とか山崎は、スコッチは名乗れませんが、製法的にはシングルモルトウィスキーです。
ちなみに、さきほどグレーンウィスキーはつまらない酒と書きました。一般的にはそう言う評価ですが、わたしはグレーンにだってそれぞれに味わいがあるとは思うし、中にはチャレンジングなことをしてきている蒸留所だってあります。わたしはもっとちゃんと飲んでみたいんですけどね。。。
という長い前置きは終えるとして。
渋谷のセンター街の一番奥に、「門」という古い有名なバーがあります。大昔のことは知りませんが、繁華街にあるといいうこともあり、単価は高く、注ぐお酒の量を増やそうとしたり、高い酒を進めてきたりということもあり、もののわかっている人の間では、ぼったくりバーというレッテルを張られたりもしています。そのバーに、いまから24年ほど前、29歳のころに初めて入りました。
実際は、門にというより、本格的なオーセンティックバーに初めて入った、というのが正解かもしれません。
ウィスキーは昔から好きで、それこそ高校生のころには、既にチビチビと口にし始めていたかと思います。ですが、それこそ先ほど名前を出した、角やらオールドといった、どこのスーパーにも置いてあるようなものしか飲んだことはなく、当時はまったくウィスキーの知識などありませんでした。そんなド素人が、そんな店に入ったものですから、まあいいカモです。
「ウィスキーのことは良く知らないが、好きは好きなので、何かオススをください」
などという可愛らしいことを口にする私に出されたものが、まさに「ポートエレン」だったのです、それもオフィシャルではなく、ボトラーズ。
これまた説明しないと話が進まないので説明しますが、シングルモルトの蒸留所自身が瓶詰めをして販売するものが、オフィシャル。要は正規品。当然ながら一般的に流通しているのはオフィシャルボトルです。
一方でボトラーズとは、自身では蒸留施設を持たず(一部例外あり)、蒸留所からお酒を樽ごと買い取って、それを独自の方法で熟成させ、瓶詰めをして販売するメーカーです。車で言えば、メルセデスのマイバッハ、フィアットのアバルトかな(むしろわかんないって?)。
閑話休題
ポートエレン蒸留所は、1980年代に蒸留所としての操業を停止していますので、私が初めてポートエレンを口にする10数年前には、もう在庫限りの状態であったわけです。もともとポートエレンは非常に評価の高いお酒で、そこに在庫がなくなったら二度と手に入らないお酒という状況です。しかも私が飲んだのは、そのポートエレンを使ったボトラーズのお酒。当然ながら非常に高価。
ちなみに私がその時に飲んだのは、ダグラスレインという有名なボトラーズが出していた、プロヴェナンスというシリーズの中のひとつで、詳しい年代などは記憶が曖昧なのですが、おそらくこれがそのものズバリの気がします。
https://item.rakuten.co.jp/sake-sato/00000000101981/
このあたりのものだと現在の相場的に20万円前後かと思います。
これを門で飲んだわけです。一体いくらであったかは不明ですが、当時の市場価格は10万円を大きく切っていたくらいだろうと思いますので、ワンショット(おちょこに一杯くらい)で1万円はしていない、数千円の範囲だと思います。
このあたりのものだと現在の相場的に20万円前後かと思います。
これを門で飲んだわけです。一体いくらであったかは不明ですが、当時の市場価格は10万円を大きく切っていたくらいだろうと思いますので、ワンショット(おちょこに一杯くらい)で1万円はしていない、数千円の範囲だと思います。
正直、美味しい食べものは当然高いと思っていたので、別にウィスキーワンショットが5000円、1万円と言われても、味に納得感があれば全然気にしない感じでした。ですが、私が驚いたのは値段ではなく、まさに味でした。
この世の中に、こんな酒が存在するのか
衝撃でした。わたしのお酒人生が完全に変わってしまいました。
そんな、大げさに言えば人生を変えてしまったくらいのインパクトを私に与えた、あのポートエレンが、蒸留所として復活をする。
ポートエレンは蒸留所としては操業していませんでしたが、麦芽を作る操業は続けていて、実際の資本としては、泣く子も黙るディアジオ(親会社はLVMHですよ)です。これが2020年に蒸留所としての再操業を宣言し、日本円にして360億円をかけて蒸留設備を再建し、昨年2024年に蒸留所としての再稼働を開始したとのことでした。
知らなかった。
2024年に操業開始ですから、新しいポートエレンを飲めるのは、おそらく早くても10年後、私は63歳です。ほんとうに楽しみです。生きる理由が一つ増えたと言っても良いくらい、楽しみです。
ていうか、生きていれば、ですけどねw
ではでは