恭介

沈園

小説/詩

釵頭鳳からの続きです。


    沈園(一)   陸游

  城上斜陽畫角哀 
  沈園非復舊池臺 
  傷心橋下春波緑 
  曾是驚鴻照影來 


城壁は斜陽を浴び、角笛の音が悲しく聞こえる
沈園はもう昔の池や楼閣に戻ることはない
橋の下の春の水が緑の波をゆらめかせて私の心を傷くする
そこが舞い立つ雁のような姿のあの人が影を映した所なのだ


  沈園(二)   陸游

  夢斷香消四十年 
  沈園柳老不吹綿 
  此身行作稽山土 
  猶弔遺蹤一玄然

 
夢絶たれて、唐婉の消え失せたまま四十年
この沈園では、柳も老いはてて綿の花を吹きだそうともしない
私もやがて会稽の山の土と成り果てる身なのだが
今尚、思い出の沈園に足を運べば、はらはらと涙が溢れ落ちるのだ

 
 

死が2人を別ってからもう40年が経っています。
陸游が75歳の時に沈園を再び訪れ、この詩を詠んだとされています。
きっと彼にはあの美しい唐婉が瞼に浮かんできて、涙が溢れるのですね。

この時から9年後。陸游84歳のときに唐婉を偲んで作った詩が下です。

  口占  陸游

  沈家園裡花似錦 
  半是當年識放翁 
  也信美人終作土 
  不堪幽夢太匆匆 
  

  沈家の園の花は錦に思えるほどだ
  もう半分は私を知っているだろう
  あの彼女は、もう土になったという便りだ
  ひそやかに夢を見る自分と夢の中の彼女はあまりにあわただしいのだ

 
 この翌年陸游は85歳で亡くなります。

  • 恭介

    恭介

    2009/10/31 20:57:35

    Re:るるさん

    るるさんも、大きな悲しみを抱えているんですね。微塵も感じさせない明るさですが・・・。

    そうですね、きっと永遠はあるよ。

  • 恭介

    恭介

    2009/10/31 20:55:41

    Re:CRYさん

    愛するのと、愛されるのはどちらが幸せなんでしょうね?

    すごく難しい命題だと思います。

  • 恭介

    恭介

    2009/10/31 20:54:09

    Re:にゃんぴち さん

    にゃんぴちさんが言うと、深みがありすぎますよね・・・。

    きっと永遠は、そこにはあったんですね。

  • 恭介

    恭介

    2009/10/31 20:52:45

    Re:sara 姉

    難しくないですよ、あたまでは理解できずとも、きちんと愛し愛されてます。

    わかりますよwそれくらいね。

  • 恭介

    恭介

    2009/10/31 20:50:41

    Re:李桜 さん

    空っぽになった心は徐々に埋まっていってますよ。

    大丈夫、素敵な出会いはきっと訪れますからね。

  • るる

    るる

    2009/10/31 01:51:31

    そこまで・・・愛してたんだね
    彼女が羨ましいな・・

    でも、残された人は・・・可哀想><
    自分の好きな人がこの世からいなくなった時から
    時間は止まってしまった・・・気持ちは少し分かります

    大好きな人が死んだとき、私も止まりました
    何も感じない・・・何も考えられない・・・何も考えたくない・・・

    ^^暗い話になってしまってごめんなさい><

    彼女は死んでしまったけど・・・・・
    彼女を思い続ける陸遊の想いはきっと永遠!死んでもなお、そこにあり続けると信じたい^^


  • CRY

    CRY

    2009/10/30 20:15:20

    切ないです。。。

    こんなに1人の人を愛しぬける人はすごいな~と思い自分はどうなんだろう?と考えさせられました。。。

    こんなに一途に愛されてみたいものです。。。

  • にゃんぴち

    にゃんぴち

    2009/10/30 16:34:38

    後になって泣かない生き方をしたいね~

    死が二人を別れさせたとしても・・・

  • sara

    sara

    2009/10/30 11:09:48

    あぁムズカシカッタ・・・(;^ω^Aスミマセヌ
    ずっと想い続ける事が出来る程1人の人を愛せるってすごい事だょ
    いつも心の中を支配されてるんだろうか???
    saraには理解出来ない深い愛だゎね(・・。)ゞ

  • 李桜

    李桜

    2009/10/30 05:20:38

    落ち着いたように見えて、まだ名前を見ると胸が痛くなります。
    自分の気持ちが振り子のように揺れてるようですよ^^;
    ダメですね。
    彼のようにずっと思い続けることは出来ないだろうけど、
    気持ちだけは判るから不思議です…。

    かさぶたの下って、時々疼くんですね…。