【お話】セイレーンの杖。
海底神殿に向かう道に立って、
ひんやりと氷の花をまといながら、
セイレーンの杖で歌った。
きらめきと、波のうねりと、
海の中で生きるもののぶつぶつ言う声、
魅きつける、引き寄せる、
魔法じみた命の光。
そうした歌を。杖を振って歌った。
海の中で歌う者は、みんな命の輝きを知っている。
うねりに飲み込まれ、消えていくものの儚さと残酷さも知っている。
だからこの歌も、鎮魂歌のようでいて、魅了の力に満ちている。
でも、他者からの評価はどうでも良い。
今は歌う、
ただ、歌う。セイレーンの杖を持つ者として。
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セイレーンの杖を振って、泡がはじける音楽を写真に撮ってみたかったので。
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