まどろみ

《雨はまだ降っている》

日記

雨粒のひとつひとつが
彼女の名前を知っているような気がした。

傘をさしていても
頬は濡れる。
それが涙かどうか、わからないままで。

部屋に戻ると
椅子がひとつ足りない。
カップは二つあるのに、
テーブルが広すぎる。

光がカーテン越しに差し込んで
彼女の不在だけを照らしている。

私はその場所を
ただ、見つめることしかできない。
何かを埋めるには
あまりにも時間が
静かすぎる。

言葉を出せば崩れてしまいそうで
私は黙ったまま、
胸の奥で名前を呼びつづける。

 

声にはならない。
でも、
それでも、呼んでいる。

 

 

 


#日記広場:日記

  • りり

    りり

    2025/07/18 20:44:26

    その内に雨も上がり顔を拝めるかも。。。
    何もかも流してくれないかな…。