まどろみ

緑の底で息をやめる

日記

白い喉が、
まるで刃物のように、夜の静けさを裂いていた。

その一瞬、時間は止まり、
世界の中心がふたりの皮膚の接点へと、ぎゅっと縮んだ。

布の下で、汗ばむ肉がわずかに震える。
それは羞恥ではなく、悦びでもなく、
ただ、意識が肉体に屈服する音だった。

指先は、ふれるのではない。
侵入するでも征服するでもない、
ただ、解剖のように、
沈黙の奥を確かめていく。

苦悶と甘美の混ざった吐息が、
冷たい空気に溶けてゆき、
ふたりの間に、言葉よりも濃い影を作った。

肉が燃え、魂が引かれる。
理性の焼け跡の向こうに、
刹那の光が閃く。

――まさに、死にたくなるほど生きていた瞬間だった。


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  • りり

    りり

    2025/07/20 11:13:10

    死んでもいいと思えるほどの何かを感じ取れたのでしょうね。