ヘルメス

ヘルメス

昔、昔ギリシャにゼウスという神がいました。
その末っ子の名前はヘルメス!
その800代目の子孫が僕ちゃん!
決して嘘八百ではありません。
自由気ままな僕は泥棒や山賊の守り神

名付ける

小説/詩






足は自分がどこへ行ったかを憶えていない

ただ歩いたことだけを記憶している

その上に乗っていたのが

何ものであったのかさえ

もうどうでもよくなっている

目的に向かって歩くことは卑しいことだと

足はつぶやく

踊りが高貴なのは行く先を持たぬから

見知らぬ時間がやってきて

振り子に尋ねる

振り子は無言のまま

ただ静かな往復を繰り返し

放たれた永遠の矢であろうとする

永遠に目盛りを刻むことは卑しいことだ

それは時を信じることができない

不完全な者たちの愚かな行為

「言葉よ!」と振り子は言う

「私の名前をいつ知ったのか?

時間も空間も虚ろだとすれば

お前はどのように自らの務めを果たすのか?」

言葉は答える

「次々と失われていくものたちの中にあってこそ

私は名付け続けるだけである!」

言葉は意味で満たされることもなく

音や図形の中に流し込むこともできない

永遠に誕生し続けるもの

言葉に与えられているのは

尽きることなく続く名指しされるものたちの列だけだ







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