セカンド

夏の香り

小説/詩

もう少し雨が降っていて欲しい
もう少し駅が遠くにあって欲しい

そう思っていてもあなたは早歩きで進む
この雨が少し強すぎるから

少しぐらい濡れても良いのに
夏の雨だよ冷たくはないよ

なぜ黙って進んでいくの
いつもは笑って話をしてくれるのに

組んだ腕が引っ張られる
傘の位置もいつもより高い

雨の中を小走りに進む
こんな時に限って駅前の横断歩道の信号は青

駅に着くと傘をたたみ
あなたは大きなため息をつく

「ばか」と一言
「ん、何が」とあなた

少し小降りになってきた
傘を差してもう一度戻ろうよ

そんな事を言えるはずもない

あなたに触れていた腕が
少しだけ熱い

雨の中に微かに
あなたと夏の香りがする







#日記広場:小説/詩

  • セカンド

    セカンド

    2025/08/08 21:30:26

    シリウス 様

    こうカンカン照りで暑いと雨も恋しくなります
    と大雨の所も・・・

    降り過ぎるのも困ったもの
    適度な雨は恵みの雨となるのに・・・

    8月7日は立秋
    暦の上では秋へと向かっています

    少しでも幸せ感があればいいな・・・
    なんて思って書きました

  • シリウス

    シリウス

    2025/08/08 14:31:18

    すてきな詩ですね。(^^)
    季節の情景と何だかもどかしい恋の情景、初々しくて、こそばゆい感じです。