まどろみ

嘲弄の断章

日記

思い出を胸に抱えた男は、
穴のあいたバケツで水を運ぶみたいに必死だ。
零れてるのに気づかず、
「これが宝だ」って、
泥水をすくい直している。

声高に語る恋は、
もう冷めきったラーメンみたいで、
麺が伸びてることすら認めない。
それをすすって涙する姿に、
通りすがりの風すら吹き出している。

結局のところ、
彼の舞は空っぽのステージでのカーテンコール。
観客は誰もいないけれど、
本人だけが拍手を聞いている。

哀れで、そしてちょっと笑える。


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