まどろみ

ぽえ無  果皮の温度

日記

指が 何度もなぞる
器の縁か 記憶の輪郭か
その動きに 意味はない
けれど 何かが ほどけていく
咥えたままの沈黙が
湯気の向こうで ゆらいでいる
舌先は まだ触れていない
それでも 甘さは 始まっている
誰かが 何かを加えた
それは 塩か 声か
混ざりきらず 沈んでいく
物憂げな動作だけが
夜の温度を 保っている
果皮のように やわらかく
でも 芯は まだ冷たい


#日記広場:日記