あなたに会えてよかった♪

けーすけ

なんでも思いついたことを書いてます^^

【イベント】ソロキャンイベント Vol.12

自作小説

俺に何か 言っておくことが?


なんだろう?

全く思い当たらない。

俺はこの企画を最後に、異動になって、全く畑違いの経理部に行っちまうことになっていたんだ。
元々決まっていたことなんだけど、企画ひとすじだった俺にとって、数字計算ばっかする部署に行くってことは、けっこう心理的な負担ではあったんだ。

俺が直接後輩女子にそのことを告げたわけではない。でも社内の噂っていうか、なんとなくこいつも気づいているはずだったけど。

「そうなんですっ! 先輩…」

「ん?だから…なんなんだ?」

後輩女子は俺の方を見上げて、ちょっと笑って

「色々ありがとうございました… 異動なんですよね?」

俺はやや照れてしまったかな。

「ああ オマエに言ってなかったな…てか、人事情報は口外できない決まりだからなぁ… 悪かったと思ってるよ」

「……」
後輩女子は言葉を失ったように、一瞬黙り込む。

「でも大丈夫さ。言っちゃあなんだが、こんな大規模イベントを仕切れたんだ。入社したてのオマエが、これから企画部のエースになれるって可能性を上層部に印象付けたからなw」

俺は努めて明るく答えてみる。

「……」

店内には、ややしっとりしたジャズが 言葉を紡ぐことができない彼女を支えるように静かに流れている。

てかマスター…いつからジャズがBGMに?ww
アンタ、昭和の演歌がスタンダードだったろ??

俺はマスターがいるカウンターの中に視線を走らせる。
マスターは無言で、手にした布でグラスを磨いて視線を避けているんだよな…

なんだなんだ?

「先輩… 私…」

きっとした目線で、俺を後輩女子が見つめてきた。

「いくら感謝しても足りません。ほんとです…」

俺は若干戸惑って

「オマエ、ちっと酔ってないか?」

「酔ってません!その証拠に、私はシラフですっ!!」

いや酔ってるだろ…(笑)


そしたら、後輩女子、いきなり立ち上がってさ。
足元が覚束ない。フラフラしてる。

「おい 大丈夫かぁ?」

「先輩…」

つられて立ち上がった俺。
そして後輩女子、倒れ込むように

俺の胸に飛びこんできたんだ…
条件反射で抱きとめる俺。



「先輩… アタシ… アタシ…」

ん、どうした?
どうしたんだ?


「ゆうべ…」

「うん ゆうべ?」

後輩女子は、俺の腕の中で
急に 嗚咽し始めてさ…

どう対処していいかわかんない。

「どうしたんだよ?言ってみろ…」

マスターはカウンターの中で、俺たちに背を向けて、知らない顔をしてるのが視界の隅に。
ジャズのメロディは聞こえない。

マスターの、きゅきゅっていう、グラス磨く音だけ聞こえてくる。



「彼氏に振られちゃったんです…」

(続く





#日記広場:自作小説

  • ココア

    ココア

    2025/12/08 22:48:11

    彼氏いたんだ!!!!

    女性って、そういうもんなんですね。