シマエナガについて⑥
「スマホでも撮れる?失敗しないシマエナガ撮影機材とテクニック」
「せっかく会えたなら、あのかわいい姿を写真に残したい」。そう思うのは当然です。しかし、シマエナガは「日本で一番撮影が難しい鳥」の一つと言われることもあります。ここでは、スマホ撮影の現実と、初心者が失敗しないためのカメラ選び、設定のコツについて解説します。
「正直な話、スマホ撮影は難しい?その理由と対策」
率直に申し上げますと、スマートフォンだけでシマエナガを大きく鮮明に撮ることは非常に困難です。理由は単純で、シマエナガはスズメよりも小さく、しかも高い木の上を絶えず動き回っているからです。スマホのカメラ(標準レンズ)で撮ると、ほとんどの場合「青空に浮かぶ小さな白い点」にしか写りません。
デジタルズームを使えば拡大はできますが、画質が荒くなり、あのふわふわとした羽毛の質感は失われてしまいます。もしスマホで撮影したいのであれば、以下の対策が必要です。
・スマホ用望遠レンズ(クリップレンズ)を使用する: 8倍〜12倍程度の外付けレンズを装着することで、ある程度大きく撮れるようになります。
・双眼鏡越しに撮る(コリメート撮影): 双眼鏡の接眼レンズにスマホのカメラを押し当てて撮影する方法です。慣れが必要ですが、望遠効果が得られます。
・動画で撮る: 写真よりも、動画モード(4K推奨)で回しっぱなしにして、後から良い瞬間を切り出す方が、動きの速いシマエナガには有効な場合があります。
「初心者におすすめのカメラとレンズスペック」
シマエナガの表情や羽毛の質感をしっかり撮りたいなら、やはりミラーレス一眼カメラと望遠レンズの組み合わせが必須です。これから機材を揃える、あるいはレンタルする場合の目安として、以下のスペックを推奨します。
レンズの焦点距離:最低でも300mm(35mm判換算)、できれば400mm〜600mmの超望遠レンズが欲しいところです。シマエナガは小さいため、400mmでも「もっと寄りたい」と感じることが多いでしょう。
カメラボディ:高価なフルサイズ機でなくても大丈夫です。むしろ、センサーサイズが小さい「APS-C」や「マイクロフォーサーズ」のカメラは、レンズの焦点距離が1.5倍〜2倍の望遠効果を得られるため、野鳥撮影には有利であり、システム全体も軽量コンパクトになります。
「動きが速い!「ちょこまか」動く被写体を捉えるカメラ設定」
機材があっても、設定を間違えるとブレた写真ばかりになってしまいます。シマエナガは一瞬たりともじっとしていません。以下の設定を基本にしてください。
・撮影モード: シャッタースピード優先オート(SまたはTvモード)
・シャッタースピード: 1/1000秒以上(暗い場合は1/800秒、晴天なら1/2000秒推奨)。被写体ブレを防ぐためです。
・ISO感度: オート(上限を3200〜6400程度に設定)。多少ノイズが出ても、ブレるよりはマシです。
・連写モード: 高速連写に設定。数打ちゃ当たる戦法が有効です。
・オートフォーカス: コンティニュアスAF(AF-C、AIサーボ)。動き続ける被写体にピントを合わせ続けるモードにします。
*北海道在住のネイチャーフォトグラファー・野鳥観察ガイドのアドバイス*
「『置きピン』と『待ち』が撮影成功の鍵です。追いかけ回すと絶対に撮れませんし、鳥も逃げてしまいます。シマエナガは群れで移動し、同じルートを巡回することが多いです。『この枝に来そうだな』と予測してピントを合わせて待つ(置きピン)のがプロの常套手段。ファインダーを覗き続けると目が疲れるので、肉眼で全体の動きを把握するのも大切です。枝被りのない、背景が抜けた枝を見つけて、そこに鳥が来るのを信じて待ってみてください」
「【重要】シマエナガを守るために絶対に守ってほしいマナー」
シマエナガブームの裏で、一部のカメラマンや観光客によるマナー違反が問題となり、生息地が脅かされています。彼らは野生動物であり、ペットではありません。私たちが彼らの生活圏にお邪魔しているという意識を忘れないでください。ここでは、シマエナガと人間が共存し続けるために、絶対に守るべきルールをお伝えします。
「餌付けは絶対NG!自然のバランスを崩さないために」
「かわいいから何か食べさせてあげたい」「餌でおびき寄せて写真を撮りたい」という気持ちは、絶対に封印してください。野鳥への餌付けは厳禁です。
人間の食べ物は塩分や脂肪分が高すぎ、彼らの健康を害します。また、人間から餌をもらうことに慣れてしまうと、自分で餌を探す能力が衰えたり、人間に近づきすぎて天敵(カラスや猫など)に襲われたりするリスクが高まります。さらに、特定の場所に鳥が集まることで感染症が蔓延する原因にもなります。彼らの自然な姿を愛するなら、自然のままそっとしておくことが最大の愛情です。
「追いかけ回さない・囲まない・大声を出さない」
シマエナガを見つけると、嬉しさのあまり大声を上げたり、走って近づいたりしたくなりますが、これは彼らにとって恐怖でしかありません。過度なストレスは、彼らの生存に関わります。
・距離を保つ: 彼らが「警戒して逃げる」距離よりも外側から観察しましょう。向こうから近づいてくる場合は別ですが、こちらから距離を詰めないのが鉄則です。
・囲まない: 複数の人間で鳥を取り囲むと、逃げ場を失いパニックになります。必ず逃げ道を開けてください。
・静かに: 観察中は大きな声での会話は控えましょう。特に「かわいい!」と叫ぶのは心の中で。
「自分の身も守る!冬の北海道の服装と足元装備」
マナーとは少し異なりますが、自分自身の安全を守ることも重要です。冬の北海道の公園は、観光地とはいえ自然の中です。気温はマイナス10度以下になることも珍しくありません。
・服装: スキーウェアや厚手のダウンジャケットは必須。インナーには吸湿発熱素材ではなく、汗冷えしないウールや化繊のアウトドア用ベースレイヤーを推奨します。
・足元: 夏のスニーカーは危険です。雪道対応の防滑ソールがついたスノーブーツが必要です。靴下は厚手のウールソックスを。
・小物: 耳が隠れるニット帽、手袋(カメラ操作がしやすいもの)、使い捨てカイロ(貼るタイプや靴下用)を準備しましょう。
*冬の野鳥観察 服装レイヤリング(重ね着)例
層→ アイテム→ 役割
アウター→ ダウンジャケット、防水透湿性のあるハードシェル→ 風と雪を防ぎ、体温を閉じ込める。
ミドル→ フリース、インナーダウン→ 保温層を作る。脱ぎ着して体温調節する。
ベース→ ウールまたは化繊の肌着(綿はNG)→ 汗を素早く逃し、肌をドライに保つ。
ボトムス→ 裏起毛パンツ、オーバーパンツ→ 下半身の冷えを防ぐ。
足元→ スノーブーツ、厚手靴下→ 雪の侵入と底冷えを防ぐ。滑り止め必須。