タケシの武勇伝…(22)
「手術を受ける気はありますか?」
塙さんの口調は元の冷静さを取り戻していた。
「おれの指が手術して治るんですか?そんな訳ないでしょ…」
紅茶に視線を落としたまま、タケシは相手の目も見ずにこういい返した。彼らしくない態度だが、それも無理からぬことだった。何も知らない者だったら信じるかもしれないが、切れた神経をつなげることができるなら、どんな大ケガした人でも代わりのモノにつなげれば動けるようになるだろう。ちょっと考えればすぐに判ることだった。
「もちろん、普通の手術ではムリです。ですが、我々が貴方に施そうとするのはありきたりの手術ではありません。」
ここで一息をついた塙さんは、疑いの目いっぱいのタケシを焦らすように紅茶を一口すすった。
「北野さん…人間の神経って脳からの信号で動いているのは判りますか?」
「…?」
「まあ、細かいことはさておき、北野さんに関していうと、貴方の断裂した神経をつなげる新しい神経組織を腕に埋め込むのです」
今度は塙さんがタケシの目を見ずにゆっくり紅茶をすすった。あえてタケシの興味を惹きつけるためだった。
「すんませんが、俺もそこまでバカじゃないっすよ。そんなことが本当にできるんならとっくにみんな義手や義足くっ付けて平気で動いてるでしょ!」
タケシは、飲み干したティーカップを皿に戻すと呆れた顔で残ったケーキをまた食べ始めた。
…美味いのはケーキと紅茶だけ。ハガレンのエドじゃあるまいし、神経がつながるわけねぇだろ!
塙さんは、ただ黙ってタケシの食いっぷりを見つめていた。その口元にかすかな笑みを浮かべながら・・・
※※つづく※※
ヒナ
2009/11/01 23:40:15
神経の治療方法は実際にあるようですが、塙さんが説明した方法は移植術に近いように思われますね。詳細は知りませんが、私が知る方法では移植しても確実に治るわけではないようです。タケシさんの腕に埋め込むという新しい神経組織はタケシさん自身から調達するのか、別の誰かから調達するのか、あるいは人工的なものなのか。手術の詳細が気になりますね。
咲
2009/11/01 22:05:35
ひょっとしてタケシ君を実験台にして、上手くいったらシンさんに応用する気だったりして…。
シンさん本人はともかく、周りの方はそうでないとも言い切れなさそうな…ちょっと不安です。
闇幻の風魔王
2009/11/01 20:13:04
神経をつなげるなんて・・・・・ブラックジャ○ク先生じゃあるまいし・・・・・。
しかし殴ってまで止めたのだからそれ相応の何かが!?・・・・・。
修哉
2009/11/01 18:46:29
塙さんは、何を企んでいるんでしょうね。
タケシの言ってることは確かにあってます・・・ッてことでステプポチ
スイーツマン
2009/11/01 18:32:19
塙さんの笑みが意味深です。さてタケシは手術をうけるのでしょうかね。