ほっペタン

「レアアースPart3」

日記

「レアアースPart2」の続き

ということでここまではですね、レアアースに関する悲惨な過去というものを紹介していきましたが、ま、これらはですね、中国が環境問題に対する認識が甘かったこと、さらには民間企業が無茶な精錬を行ったことが原因ではありますが、このような大変な思いをして中国はやっとレアース大国になれたわけです。そう、ついに中国が覇権を握りました。90%のシェアがあるわけですから、レアアースを輸出してあげるから言うことを聞きなさい。このような外交カードに使えるわけです。そして2010年事件は起こります。

沖縄県尖閣所島付近で中国の漁選が海上保安庁の巡視船に衝突するという事件が発生。日本側がこの中国漁選の船長を逮捕したことへの対抗措置としてレアアース対日輸出禁止。このようなカードを切ってきました。そうするともう日本経済は大パニックになったわけです。日本といえば自動車製造、ハイブリッドカーをどんどん作って輸出しているわけですが、このエンジンを作るためにはレアアースがないと作れないんです。それだけではなく、スマホやMR機器(複合現実:現実世界に存在するかのようにデジタル情報を体験できるシステム)など様々な高性能機器が作れなくなったので日本のサプライチェーンは大変な目に合いました。ここで日本は学びます。

この事件をきっかけに中国に依存するのは怖いよね。ということで、単中長期的に3つのフェーズに分けて中国からの依存度を下げていきましょう。

このような計画が作られました。まず短期的にはオーストラリアに依頼してオーストラリアの豊富なレアアース鉱石を採掘してもらい、それをマレーシアに運びす。

マレーシアというのは元々錫(すず)の産業が活発なんですが、その錫を精錬する際にもレアアースと同じくウランとトリウムが出るんですね。ですからその扱いに慣れてるマレーシアにレアアースの精錬をお願いしてそのマレーシアから輸入をする。こういった別ルートを作ることで中国の依存度を90%から63%に減らすことに成功しました。

中期的な対策としましてはレアアースの再利用ですね。世の中の製品にはすでにレアアースがたくさん含まれていますので、これらが廃棄されたパーツ、これを都市鉱山なんて呼びますが、ここからレアースをもう1度取り出すことはできないか研究を始めました。

そして現在では、信越化学工業さんがネオジウム磁石からレアースを取り出すことに成功。すでに商業化にも成功しております。

そして最後の長期的な目標。これが今ニュースで話題になってる日本から遠く離れた南鳥島。ここの海底5500m。ここからのレアース引き上げです。ここは日本からかなり離れていますが、ちゃんと日本の排他的経済エリアでして、以前からこの海底にはものすごい量のレアアースが眠っていることが分かっていたんですが、なんせ海底5500mですからここから吸い上げるというのは世界的に見ても例がない。それほど難しいことなんですね。

しかしついにこれを吸い上げるテストが始まりました。ここで、海底からレアアースなんて取って日本でどうするのって思った方もいると思います。そう、先ほどの説明ではレアアースの元というものはいくら取ってきても精錬する時に放射性廃棄物が出るんだから日本では精錬できないんだよね。そう思ったと思うんですがびっくり。

実はこの南鳥島の海底に眠るレアアース泥、これにはなんと放射性廃棄物がほとんど混ざっていないんです。そう言うなれば奇跡の安全なレアアースこんなレアアースが
見つかってるのは世界的にもほとんどありませんので本当にすごいことなんですね。

そしてここに埋蔵されているレアースの量は1600万トンと推定されています。730年分のレアースが埋蔵されているということらしいですから、もしこれを実際に吸い上げて
精錬までできるようになれば日本はレアースに困ることがないどころか逆に輸出する側としてレアース大国となることができる。これは是非成功させて欲しいですよね。

ただしこれを成功させるためには3つの壁があると言われておりまして、難易度は恐ろしく高いんですが成功する確率はかなり高いと私は予想しております。

まず1つ目の吸い上げそのものが難しい問題。今回のやり方としましては、船から1つ30mのパイプを200個ほど連結させて、それを海底まで下ろしていき、そこでボーリングをして水の圧力で泥を水面の船まで引き上げるんです。

こんなの途中でパイプが詰まったり破損なんかしたらどうするんだって思っちゃいますが、過去にスイスのオールシーズという会社がハワイ沖の海底4500m。
ここから約3000tの海底資源を引き上げるこういったことに成功しているんです。つまりは4500mまでは実績があるわけですから日本の技術力を持てば5500mも可能なんじゃないかと私は期待してます。

そして次にちゃんと日本で精錬できるのかという問題。ここも調べてみるとものすごく面白くて、今まで地表から取れていたレアアースというものは鉱石から精錬
をしていました。でも今回海底で見つかったものは泥です。この泥は乾かすとパウダー状になるんですが、この中にはたくさんの微細な魚の骨が無数に混ざって
いまして、この骨のカルシウムの成分にレアアースがくっついている状態なです。なので、この骨と泥を分離させる必要があるわけですが、この骨は周り
の泥よりも粒子が大きいので、フルイかけることで分離させることができます。

そしてこのフルイというものはハイドロサイクロンと言いまして、東京大学のホームページに実際の写真が掲載されております。こんな実験室における
ぐらいの小さなものでもすでに分離には成功しております。ですからこの分離の部分はすでにクリア済み。そしてですね、取れるのは魚の骨ですから中国が
鉱石を溶かす時に使うような強酸。ああいったものは必要なく環境に優しい薄い酸で十分。実験ではこれで5分もあればレアアースを抽出できたらしいです。

さらにはシュウ酸や二酸加炭素を使うことでもっと安価にかつ安全に精錬することができますので中国のような公害問題に悩まされることなく精錬の問題もほぼクリアということです。

次は採算採算性の問題。ここが1番難しいと言われてるんですがなんせ中国のレアースは激安なんです。先ほど中国への依存度を下げるためにオーストラリアとマレーシアに別パイプを作ったと言いましたが、そこから輸入されるレアースというのは中国の6倍から10倍ほど高いんですね。つまりそれほどまでに中国のものは安い。そして今回海底から引き上げるためのコストは1日数千万円と言われておりますので、どう頑張っても値段で中国に勝つことは無理だと言われております。

この対策としましては実は南鳥島の海底にはレアアースと一緒にマンガンノジュールというものが埋まっていましてこれにはコバルト、ニッケル、銅、マンガンといった、非常に高値で取引される金属がたくさん詰まっていますので、これを一緒に引き上げることで儲けて採算をなんとかペイできないかと議論が進められているようです。

ということで、これら理由からですね、私は今回の日本の挑戦十分に勝算はあるんじゃないかなと見ておりますが、皆さんはどう思うでしょうか?


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