ピラティスについて①
**ピラティスとは?効果・種類・ヨガとの違いは?初心者向けガイド**
ピラティスという言葉を耳にする機会が増え、興味を持っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。インナーマッスルを鍛え、体幹を強化するピラティスは、美容や健康、さらにはアスリートのパフォーマンス向上まで、幅広い目的で実践されています。この記事では、ピラティスの基本的な知識から得られる効果、種類、そしてヨガとの違いまでを分かりやすく解説します。
「ピラティスの起源と歴史」
ピラティスは、単なるエクササイズ方法ではなく、心と体の両方に働きかけるメソッドです。その成り立ちには、創始者ジョセフ・H・ピラティスの経験と哲学が深く関わっています。
*戦時中の収容所で生まれたエクササイズ
ピラティスは、ドイツ生まれのジョセフ・H・ピラティス氏によって考案されました。彼は幼少期に病弱だった経験から、様々なスポーツやヨガなどを参考に、自身の健康法を開発しました。第一次世界大戦中、ドイツ人であった彼は敵国イギリスで捕虜となります。その収容所で、負傷した兵士たちのリハビリのために、独自の運動方法を指導し始めたのがピラティスの始まりです。彼は猫が獲物を追いかける前に体をストレッチする姿を見て、背骨の重要性に気づいたといわれています。
*アメリカでの発展と「コントロロジー」
戦争後、アメリカに亡命したピラティス氏はニューヨークに自身のスタジオをオープンし、そのメソッドは世界へと広まっていきました。
ジョセフ・H・ピラティス氏は、自身が考案したメソッドを当初「コントロロジー(Contrology)」と呼びました。「コントロールする学問」という意味が込められたこの言葉は、心と体を自分でコントロールできるようになることを目指す、ピラティスの哲学そのものを表しています。反射的な動きではなく、一つ一つの動きを意識的に、そして正確にコントロールすることを重視しています。
「ピラティスの目的と現代での活用」
*年齢や体力を問わない万能エクササイズ
ピラティスは、負傷兵のリハビリという医学的なアプローチからスタートしました。そのため、年齢や体力に関わらず、誰でも安全に取り組むことができるのが大きな特徴です。
*医療・スポーツ分野での導入事例
現在では、その効果が広く認められ、リハビリテーションだけでなく、姿勢改善、怪我予防、スポーツパフォーマンス向上、健康維持など、多様な目的で実践されています。特に、医療現場では理学療法士などがリハビリに取り入れる例も増えており、医師がピラティスを処方し、その費用が保険でカバーされる国(オーストラリアなど)も存在します。
「ピラティスの主な種類」
*マットピラティスの特徴
ピラティスには、大きく分けて「マットピラティス」と「マシンピラティス」の2種類があります。それぞれに特徴があり、目的やレベルに応じて選ぶことができます。
マットピラティスは、マットの上で自分の体重を負荷として行う自重トレーニングです。マットさえあれば特別な器具は不要なため、場所を選ばずどこでも手軽に行えるのがメリットです。スタジオのグループレッスンやプライベートレッスンのほか、自宅で動画を見ながら行うことも可能です。マットピラティスでは、流れるような反復的な動きを通して全身の筋肉、特にインナーマッスルを鍛えます。関節を安定させ、身体が本来あるべき自然な状態に戻すことを目指すため、姿勢改善や不調の改善に効果が期待できます。また、全身を引き締め、しなやかなボディラインを作る効果もあります。ただし、正しいフォームで行わないと効果が出にくかったり、怪我につながるリスクもあるため、初心者の場合はスタジオで正しい動きを習得することが推奨されます。小さな道具(プロップス)を使うこともあります。
*マシンピラティスの特徴
マシンピラティスは、ピラティス氏が開発した専用マシン(リフォーマー、キャデラック、チェア、バレルなど)を使用して行うピラティスです。最大の特徴は、マシンに搭載されたスプリングなどで負荷を細かく調整できる点です。これにより、筋力が少ない初心者や高齢者、リハビリ中の人から、強度の高いトレーニングを求めるアスリートまで、個々の状態やレベルに合わせてエクササイズを行うことができます。マシンは動きをサポート(ガイド)してくれるため、正しいフォームを身につけやすく、特定の部位に集中的にアプローチするのにも向いています。正しいフォームは怪我の予防にも繋がります。マットピラティスに比べてエクササイズの種類が豊富で、細かい動きを行うことも可能です。見た目は難しそうに見えますが、むしろ初心者の方にこそおすすめされることが多いです。スタジオではプライベートレッスンやセミプライベートレッスンのほか、リフォーマーを使ったグループレッスンも人気があります。
ピラティスの効果的な実践をサポートするために、様々な専用マシンが開発されています。代表的なマシンをいくつか紹介します。
・リフォーマー(Reformer): 最も代表的で普及しているマシンです。スライドする台(キャリッジ)とスプリングを使って、様々な方向への動きや負荷調整が可能で、全身のエクササイズができます。短時間でボディメイク効果が期待できると人気です。
・キャデラック(Cadillac): 「トラピーズテーブル」とも呼ばれ、ピラティス氏が病院のベッドを改造して負傷兵のリハビリ用に作ったのが始まりです。大きなフレームに様々なバーやストラップ、バネなどが取り付けられており、寝た状態でも多くのエクササイズが可能です。
・チェア(Chair): 椅子のような形状をした比較的小型のマシンです。限られたスペースでも多くのエクササイズが可能で、特に脚や股関節、体幹、腕の強化に用いられます。中級者以上向けとされることもあります。
・バレル(Barrel): 丸いカーブを持つマシンで、「スパインコレクター」や「ラダーバレル」などいくつかの種類があります。背骨の柔軟性を高めたり、ストレッチを深めたりするのに役立ちます。ラダーバレルはラダー(はしご)とバレルが一体になっており、バレエダンサーにも好まれます。スパインコレクターは比較的小さく、自宅での姿勢改善や腰痛・肩こり解消にも使われます。
・コアライン(Coreline): リハビリ目的で開発されたマシンで、バランスや機能改善に特化しています。
これらのマシンは、単に負荷をかけるだけでなく、インナーマッスルを意識しやすくしたり、体の動きをガイドしたりすることで、より効果的に、そして安全にピラティスを行うためのサポート器具としての役割を持っています。