ピラティスについて⑤
「身体の柔軟性を高め、強化し、バランスを整えるメソッド」
*ピラティスとは
ピラティスとは、1883年にドイツで生まれたJoseph Hubertus Pilates(ジョセフ・ハベルタス・ピラティス)氏によって考案されたエクササイズです。自身が様々な病気を持病としてもっており、 その病弱な身体を克服するために様々なスポーツや治療法を研究し、それらの組み合わせたものがピラティスの原形だと言われています。
そこから第一次世界大戦中にドイツ軍の従軍看護師となったピラティス氏が、戦争で傷を負った兵士のリハビリに使用し、そのエクササイズを発展させていきました。
「ピラティスの効果」
①姿勢改善
自然な位置に骨や内臓を配置する力を鍛えます。
背骨や骨盤、肩甲骨や股関節などを意識し、「正しく動かす」ことを学ぶことにより、身体が機能しやすい自然な位置に骨や内臓を配置する力を鍛えます。
一つひとつの背骨の間にある細い筋肉を強化することで、背骨を正しい位置に置く力を強化します。常にアライメント(左右のバランスの確認)を行うため、歪みのないバランスの取れた筋肉を作り、美しい姿勢に導きます。
②しなやかで強いインナーマッスル
動きと共に呼吸を使い、体幹部にあるインナーマッスルをしなやかで強くします。
ピラティスでは、動きと共に呼吸を使い、体幹部にあるインナーマッスルを微細に動かし、しなやかに使えるようにしていきます。骨盤の底面にハンモック状に存在する「骨盤底筋群」、お腹の周りをコルセットのようにぐるりと囲む「腹横筋」、背骨を支える脊柱起立筋の深層部に位置する「多裂筋」、そして腹腔の上部分を覆い呼吸と共に動く「横隔膜」 の4つの筋肉を合わせた「インナーユニット」を、呼吸と共に動かし、しなやかで強さのある筋肉にします。
③免疫力を高める
ピラティスは自律神経をコントロール、ストレス解消につながります。
免疫力を正常な状態に保つには、ストレスのコントロールと腸内環境を整えることが大切です。脳の一部にストレスが過剰にかかると、脳全体の機能や、免疫に関わるホルモン系や自律神経系の機能にも影響を及ぼすことが理由です。ピラティスは呼吸法と「集中」による瞑想効果(マインドフルネス)により自律神経をコントロールしていく事から、ストレス解消につながります。ストレスの解消はホルモンバランスを正常化させ、それは内臓機能を正常化させます。
④ストレスの解消・睡眠の質向上
呼吸とリズムを伴う動きでセロトニンの分泌を増やし睡眠の質が向上する効果も期待。
ピラティスでおこなう胸式呼吸は交感神経に働きかけ、頭や身体を活性化させる効果を持ちます。レッスン後に頭がすっきりとする爽快感を得られるのはこのためです。呼吸とリズムを伴う動きでは、良質な睡眠に欠かせない「メラトニン」というホルモンの原料となる、「セロトニン」の分泌を増やします。そのため、日中にピラティスを行うことで、睡眠の質が向上する効果も期待できます。
「ピラティスとヨガの違い」
・ピラティス→リハビリとして発展→胸式呼吸→流れるように動きを続ける
・ヨガ→精神の修行法として生まれた→複式呼吸→ストレッチするようなポーズ
*ピラティスとヨガの成り立ちの違い
ヨガは元々、精神の安定を重視。ピラティスはリハビリを目的に発展。
ヨガの起源はインダス文明時代にインドで宗教的思想に基づいた修行法として用いられたことが、ヨガの始まりだとされています。ヨガは元々、身体の健康法としてではなく、精神の安定を重視していました。
一方ピラティスは、ジョセフ・ピラティスが自身の病気をきっかけに開発する際に、ヨガをはじめ様々なスポーツなどを参考にしています。そこから戦争中の負傷兵士に対するリハビリを目的に発展させていきました。
*ピラティスとヨガの呼吸法の違い
ヨガは腹式呼吸。ピラティスは胸式呼吸。
ヨガは本来、呼吸法が明確に指定されているわけではないですが近代のヨガで主な呼吸法は腹式呼吸です。意識を呼吸に集中させ、深くゆっくり腹式呼吸をおこなうことで、休息時に活発化する副交感神経を優位にする作用があり、リラックス効果を得られます。一方ピラティスは胸式呼吸、胸を膨らませておこなう呼吸で、肋骨を前面や背面、横に広げるように深く呼吸します。胸式呼吸は活動時に活発化する交感神経を優位にする働きがあるため、脳が活性化され筋肉も活動的な状態となり、頭も身体もすっきりとして集中力が高まります。
*ピラティスとヨガのエクササイズの違い
ヨガ(ハタ・ヨガ)は、ストレッチのポーズで深めていく。ピラティスは流れるように動き続けていく。
日本のヨガのほとんどを占めるハタ・ヨガ(ヨガの流派のひとつ)では、身体をストレッチするようなポーズで数秒間キープし、深い呼吸をしながらポーズを深めていきます。ヨガの動きでは、関節の可動域を広げ、筋肉の柔軟性を高めるポーズや、体幹・肩関節周辺のインナーマッスルを強化していくポーズが主に使用されます。
ピラティスは、流れるように動き続けていくのが特長です。背骨や関節の流動性を高めるエクササイズを中心に行ないます。ピラティスでは、筋肉の可動域や柔軟性、反復の回数よりも「動きの質」を重視し、骨や筋肉の調整のための正しいポジションにフォーカスします。
「マシンピラティスとマットピラティス」
・マシンピラティス
インナーの筋肉が正しく働くよう専用マシンでサポート。
マシンピラティスは、マシンを使って様々な方向に身体を動かすことで可動域を広げていき、同時に体幹や体の軸を鍛え、安定性と柔軟性を得ていきます。多くのフィットネスマシンが筋肉に負荷をかけるものであるのに対して、ピラティスマシンは筋肉の負荷をやわらげてアウターという外側の筋肉を使わずに、インナーという内側の筋肉を使わせるように工夫されたサポート器具です。マシンピラティスは上級者向けのイメージがありますが、ピラティス初心者の方にもおすすめです。無駄な力をかけることなく全身の隅々にまで意識を向けながら、なめらかに動くことができます。
・マットピラティス
身体への意識を深めることを目的とした、ピラティスの基礎。
マットピラティスは、自身の身体への意識を深めることを目的とした、ピラティスの基礎ともいうべきメソッドです。マットピラティスはマットひとつで始められるので、ピラティスを始めたばかりの方はもちろん、長年続けている方まで、年代問わず全ての方がライフワークの一環として継続していけるレッスンです。
重力に逆らいながら自分の身体を支え、動かすことで、より明確に身体の癖を見つけられます。繰り返しレッスンを受けていただくことで体幹が安定していくため、同じレッスンを続けていても、ピラティスを始めた当初と継続後では自身の身体の動きが別物である喜びを感じられようになります。