恵方巻きについて③
「全国展開」
小僧寿しは1980年代中盤より「縁起巻」(1986年商標出願、1989年登録)の名称で全国展開を行い、毎年キャンペーンを行っていたものの然程ブームにはならなかった。
関西厚焼工業組合は広範囲で宣伝活動を行った。1987年頃には同組合によって「幸運巻ずし」の宣伝ビラが関西地方以外にも九州地方や岐阜市・浜松市・新潟市などの各都市に向けて送付された。
商業的に売り上げが落ちる時期である「1月後半から2月初旬」の販売イベントとして、主にコンビニを中心とし、スーパーなどの店舗にて各地で展開されるようになった。
*展開と普及
・コンビニ
その後、「セブン-イレブンが丸かぶり寿司に目を付け、「恵方巻」として展開したことで本格的な普及がなされる」ことになる。1989年、広島市にある加盟店7〜8店舗を担当していた「オペレーション・フィールド・カウンセラー」が加盟店オーナーとの会話の中で恵方巻の存在を知り、新たなイベントとして広島市のセブン-イレブンが販売を開始[6]。1990年以降販売エリアを広げ、1995年から西日本に販売エリアを拡大、1998年に全国展開をしたことで急速に普及した。
・スーパーマーケット
スーパーマーケットでは、ダイエーが関西地方で1980年代頃には販売を行っており、関東地方の一部地域では1990年代前半から販売開始、ジャスコ(現:イオン)では1992年から全国同時に販売を開始、などのように同小売業態でも宣伝活動が行われるようになった。2000年代に入ると全国の各コンビニエンスストアを中心に販売促進キャンペーンが行われた。2000年代以降は地方の小規模スーパーや個人経営店も参入する動きがある。
・神社
関東では神奈川県川崎の若宮八幡宮が1987年より恵方巻行事を開始している。2000年、磐裂根裂神社(栃木県下都賀郡壬生町)の節分祭で太巻きを食べる行事を、同県内の神社で初めて取り入れた。同神社では、節分祭の参列者に振る舞われる「夢福巻き寿司」という太巻きがあり、境内には風水の方位盤の上に建つ「福巻寿司発祥の地」の石碑がある。宮司が神事を執り行った後、拝殿内で太さ約5cm、長さ約20cmの太巻きを配り、太鼓の合図とともに全員が今年の恵方を向いてその太巻き寿司を丸かぶりする。太巻きを鬼の金棒に見立てて「邪気を祓う」という意味があり、切らずに長いまま太巻きを食べることで「縁を切らない」、「福を巻く」という意味も含まれ、祓鬼来福の祈念を行うものとされる
・認知度
ミツカンの調査による恵方巻の認知度は、全国平均は2002年時点の53 %が、2005年には88 %となり、マイボイスコムの調査では、「認知度」と「食べた経験」に関して増加傾向となっているが、「実際に食べた」と答えた人の全国平均は2006年の時点で54.9%である。2018年のアンケートでは、全国での恵方巻きの認知率は84.2 %、喫食率は61.1 %となった。
また、「実際に恵方巻を食べるか」についての地域差は大きく、2008年12月後半にアイシェアが行った調査では、関西・中国・四国にて「実際に食べる」が半数以上占めたのに対し、関東では6割が「食べない」などの結果が出ている。
2011年に博報堂生活総合研究所が三大都市圏で調査をし、節分行事で何をしたか聞いたところ、「恵方巻きを食べた」との答えが48 %、「豆まきをした」との答えが44 %となり、恵方巻を食べたと答えた人が豆まきをした人を上回り、全国規模の行事として定着したことを示した。
2024年1月記者会見で、自見英子消費者担当大臣は、節分の「豆」と共に、「恵方巻き」について窒息事故への注意を呼びかけた。
・販売本数
2007年の日本全体での販売本数は約3000万本。2008年2月2日と2月3日の2日間で、セブン-イレブンだけで388万本、コンビニ大手3社で約700万本が売れたという。
・春の節分以外における販売
関連する新たな展開として、節分が2月だけではなく年に4回あることに着目した大手スーパーのイオンが、2010年から「夏の恵方巻」(8月)「秋の恵方巻」(11月)の発売を開始した。
2011年、夏の恵方巻はスーパーマーケットやコンビニ業界で行われた。スーパー関係では引き続きイオン、コンビニ関係ではファミリーマートが新たに展開を始めた。
2012年、夏の恵方巻では新規参入が増えて幅広く行われた。スーパー関係では引き続き展開しているイオンではドラえもんを利用した商品を発売したほか、新たにサミットやヤオコーなどが夏の恵方巻に参入。コンビニ関係では引き続き夏の恵方巻を展開しているファミリーマートに加え、セブン-イレブンやサークルKサンクスも追随するなど、年々動きが広がっている。
春の恵方巻(5月)については、同時期に端午の節句が存在しているため新たな商戦を行う必然性が薄かったが、夏秋の恵方巻が定着するにつれ、徐々に売り出す店が出てきている。
・商業イベント・アレンジ商品
全国への広まり方はバレンタインデー・ホワイトデー・オレンジデーの菓子贈答と同じく、節分に関連する商業的イベントとして、海苔業界やコンビニ業界など関係業界の主導のもと、恵方巻を巧みに利用して販売促進を目的と批判の声がある。2000年代後半以降は恵方巻の他に便乗商品に関連する商戦が過熱化している
節分に関係の深い食材である豆やイワシに比べ、恵方巻は様々なアレンジが可能であることから新たな商品開発が行われ、2000年代以降には本来の「太巻き寿司」だけではなく「海鮮巻き」「ハーフサイズ」など食材・大きさの多種類化や「阪神タイガースバージョン 虎十巻」のような公認グッズが出現した。また、東武百貨店などの百貨店でも中華・洋風といった複数種類の恵方巻を用意した。2013年には金箔を圧着させた焼海苔を使った恵方巻が数量限定で発売された。