眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

灰色の境界線

日記

視界は すべてミルク色の闇に溶け
世界から 輪郭という輪郭が 剥がれ落ちていた
防波堤に腰を下ろせば 冷えた湿り気が
安物のコートを 容赦なく重くする。
ボーッ、と。
目蓋の裏まで 震わせるような 低い霧笛。
それは どこかへ向かう船の合図か
それとも 帰る場所をなくした 男の独り言か。
海は見えない。
ただ 足元で波が 岸壁を噛む音だけが
ここが 陸(おか)の終わりであることを 教えてくれる。
俺は ポケットの中で 拳を固める。
ここには 過去も未来も 存在しない。
ただ 湿った風と 絶え間ない霧笛の反芻。
「さよなら」さえ 霧に吸い込まれてゆく。
俺は ゆっくりと立ち上がり
音の消えた 灰色の街へと 背を向けた。


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