眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

霧の境界線

人生

深い霧に包まれた巨大なダムの堤頂。そこには、湿った夜気と静寂だけが支配する世界がある。コンクリートの巨大な壁は、まるで過去の記憶をすべて遮断するかのように立ちはだかっている。



午前三時。ダムの縁に一人の男が立っている。
視界を奪うほどの濃霧は、まるで銀色の幕。
男が指に挟んだ煙草の火だけが、この灰色の世界で唯一の熱を持っている。
眼下には底の見えない闇が広がり、
かつてそこにあったはずの街も、道も、すべては深い水の底で眠りについている。
かつての喧騒も、遠い日の約束も、
この重厚なコンクリートの壁を越えることはできない。
夜風がコートの襟を叩き、霧が冷たく頬を撫でる。
言葉は湿った空気に吸い込まれ、誰に届くこともなく消えていく。
ライターの炎が揺れ、やがて消える。
男は深く息を吐き出し、霧の向こうを見据える。
ここには何もない。ただ、冷徹な静寂と、時を止めたような水の重圧があるだけだ。
夜明けまではまだ時間がある。
男は静かに背を向け、霧の底へと続く長い道を歩き出す。
背後で、巨大なゲートが物言わぬ守護者のように、深い霧の中に再び沈んでいった_


#日記広場:人生