眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

雨の公衆電話

日記

土砂降りのなか、緑の箱だけが浮いていた。
水滴のヴェールに包まれた、孤独な潜水艦だ。
ポケットで文鎮と化したスマホを弄る。
デジタルが死んだ街で、俺は硬貨の重みを頼りに歩いた。
錆びついたドアを引くと、湿った安堵が鼻をつく。
受話器を上げれば、そこにはまだ「生きた」音が流れていた。
絶え間ないノイズ――それは機械の呼吸だ。
指先が覚えている番号を、重いダイヤルに刻み込む。
10円玉が落ちる音は、過去へと続く通行料。
呼び出し音は、冷え切った鼓動のように俺の耳を打つ。
「……俺だ」
ガラスの向こう、雨に滲むネオン。
この薄暗い箱のなかだけが、世界で唯一の、嘘のつけない場所だった。
受話器を置けば、また沈黙が戻る。
だがそれでいい。
雨音がすべてを洗い流し、誰も俺を追えなくなる


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