眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

覚えている青春エピソードは?

今週のお題

薄汚れた雑居ビルの屋上、
午前二時の風は、十六歳のナイフみたいに冷たかった。
俺と相棒は、百円のライターでマイルドセブンに火をつけ、
星も見えない街の灯りを見下ろした。
「いつか、ここを出ていけるか?」
相棒が煙を吐き出しながら尋ねる。
俺は答えなかった。
答えは、ポケットの中で錆びついた鍵みたいに、
重く、誰にも言えない場所にあったからだ。
夢なんて、安物のウォッカみたいにすぐに冷める。
愛なんて、雨に濡れた新聞紙みたいにぐしゃぐしゃだ。
それでも俺たちは、誰もいない国道を歩いた。
影は二つ、アスファルトの上に刻まれた、
俺たちの、たった一度の、愚かで硬派な署名だった。
あれから長い時間が過ぎた。
煙草の銘柄は変わり、ポケットの中の鍵もとっくに失くした。
だが、あの夜の冷たい風と、
相棒の、少し震えたライターの火だけは、
俺の薄汚れた胸の奥で、まだ静かに燃え続けている。
……もう、あれが誰だったかも、思い出せないけれどな。


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