眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

硝子越しの挽歌

日記

夜の底に、重たい雨が降っていた。
カウンターの隅、氷が溶ける音だけが、
静寂の輪郭をなぞっている。
背後でドアが開く音がした。
お前の香水の残り香が、
湿った空気と混じり合って、
一瞬、心臓の奥を掠めていった。
「もう行くわ」
その一言に、俺は琥珀色の液体を煽る。
引き止める言葉は、
とうの昔に雨樋(あまどい)から流し捨てた。
去る者を追うほど、
俺の足取りは軽くはない。
引き止めて繋ぎ止めるほど、
この街の夜は甘くはない。
お前の背中が闇に消えても、
振り返る必要はないさ。
追いかけないのが、
俺に残された最後の礼儀(マナー)だから。
カチリとライターが鳴り、
紫煙が空虚な輪郭を描く。
さよなら、と言いかける唇を、
煙が優しく塞いでいった_


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