錆びた鍵の行方
「もう、いいの」
その声は、雨音よりも静かに、
俺の胸に冷たい杭を打ち込んだ。
その声は、雨音よりも静かに、
俺の胸に冷たい杭を打ち込んだ。
追おうとすれば、届いたはずだ。
その細い肩を抱き寄せ、
嘘でもいいから「行くな」と、
喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
その細い肩を抱き寄せ、
嘘でもいいから「行くな」と、
喉元まで出かかった言葉を飲み込む。
追いかけないのは、誇りじゃない。
ただ、追った瞬間に、
俺たちのすべてが「間違い」に変わるのが怖かった。
ただ、追った瞬間に、
俺たちのすべてが「間違い」に変わるのが怖かった。
お前が残していった、
使い道のない合鍵がひとつ。
カウンターの上で、
街灯の光を跳ね返して冷たく笑っている。
使い道のない合鍵がひとつ。
カウンターの上で、
街灯の光を跳ね返して冷たく笑っている。
「去る者は追わず」
独りごちた言葉は、安っぽいアルコールに溶け、
喉を焼く痛みだけを真実にする。
独りごちた言葉は、安っぽいアルコールに溶け、
喉を焼く痛みだけを真実にする。
開いたままのドアから吹き込む風が、
お前の温もりを根こそぎ奪い去っていく。
俺はただ、消えかけた煙草を指に挟み、
もう二度と開くことのない、
あの日の扉を見つめていた_
お前の温もりを根こそぎ奪い去っていく。
俺はただ、消えかけた煙草を指に挟み、
もう二度と開くことのない、
あの日の扉を見つめていた_