眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

国際客船ターミナル悲歌

日記

坂の街が吐き出した溜息が、石畳を濡らしている。
長崎港、松が枝。
かつて「鶴の港」と呼ばれたこの場所は、
今じゃ、誰かの夢を切り裂く、鋭い嘴(くちばし)のようだ。 
「オランダ坂」を転がり落ちた未練が、埠頭に溜まっている。
大型客船の白い船体は、闇夜に浮かぶ巨大な墓標。
出航を告げる汽笛が、女神大橋の向こう側で
消えちまった女の、掠れた呼び声に変わる。
コートのポケットで、ライターが冷たく指に触れた。
思案橋のネオンで焼いた偽りの情熱も、
この潮風に晒されりゃ、ただの灰だ。
精霊流しの鐘の音が、耳の奥でまだ鳴っている。
流せなかったのは、麦藁の船じゃない。
独り残された、俺という名の抜け殻だ。
ここは長崎、松が枝国際ターミナル。
異国の香りに惑わされ、坂道の迷路で明日を失う場所。
雨が降り始めれば、すべては青いブルースに溶けていく。
夜明けを待つのは、もうやめた_


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