眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

四月の盲目(ブラインド・エイプリル)

日記

カレンダーが残酷な冗談をめくっても
街はただ、白い沈黙に飲み込まれている。
春の霧は、記憶の解像度を下げるための装置だ。
昨日までそこにあったはずのビルの輪郭が
ミルクに溶けた角砂糖のように消えていく。
「見えるものが真実だ」と抜かした哲学者は
この湿った朝の街で、きっと迷子になるだろう。
俺はコートの襟を立て、見えない足元を信じる。
桜の花びらが、濡れたアスファルトに張り付いている。
それは、誰かが途中で投げ出した
美しすぎる言い訳の残骸だ。
霧の向こうで、誰かがライターを擦った。
オレンジ色の火花が、一瞬だけ世界を繋ぎ止める。
正解なんて、最初からこの煙の中にしかない。
俺たちは、出口を探しているんじゃない。
ただ、この白い迷路を正しく歩き通したいだけだ。
春が残酷なのは、花が咲くからじゃない。
すべてを曖昧にする、この優しすぎる霧のせいだ。


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