眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

窓の向こう側_夜行列車

日記

お疲れ様でございます、旅人の方。
グラスの底に残る、苦い琥珀色の時間を
どうかそのまま、窓の外へ放り投げてください。
流れる街灯の列は、
誰かが書き置きを忘れた、とり留めのない点字のようです。
鉄の軋む音が、あなたの耳元で囁いています。
「ここから先は、名前も過去も必要ございません」と。
シーツの皺(しわ)に刻まれた、見知らぬ誰かの溜息。
それを指先でなぞりながら、
どうか、冷えた静寂をお召し上がりください。
夜風は、嘘をつくのが上手でございます。
時折、ガタゴトと震える車体は、
追いかけてくる現実を振り払う、重い鼓動。
カーテンを閉めれば、そこはもう
神様さえも立ち入れない、あなただけの聖域。
夜明けが来るまでは、私がすべてを預かりましょう。
その重たいコートも、
胸の奥に隠した、消えない火傷の跡も。
終着駅はまだ、遠い闇の向こう側。
さあ、目を閉じて、深い眠りの中へ。
夢を見ることさえ、ここでは贅沢な罪でございます。
おやすみなさいませ、
この夜の、誇り高き迷子の方々へ。


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