眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

闇に葬った計画

仕事

その計画に、名前はなかった。
ただ、どこかの高層ビルの最上階で、傲慢な連中がワインを転がしながら書き上げた「数字の羅列」に過ぎない。
彼らが企てていたのは、地図から一つの古い街区を消し去ること。
再開発という名の大義名分を盾に、そこに根を張る名もなき住人たちの生活を、ただの「コスト」として切り捨てる。
法に触れないよう精巧に組まれた、血の通わない計算式。
俺がやったのは、その計算式の「一箇所」を書き換えることだけだ。
銃はいらない。爆薬も、派手なハッキングも必要ない。
彼らが信頼しきっていた「完璧な契約書」の裏側に、彼ら自身が隠したがっていた過去の脱税工作の証拠を、静かに、だが確実に関連付けた。
欲に目が眩んだ連中が自ら掘った穴に、彼らの足を滑らせるための、ほんの少しの砂を撒いただけだ。
明日、その再開発計画は「予期せぬ不備」によって無期限凍結される。
担当者は責任のなすりつけ合いを始め、傲慢な微笑みは、凍りついた狼狽に変わるだろう。
住人たちは、自分たちの日常が何によって守られたのか、一生知ることはない。
感謝の言葉も、賞賛の声も届かない。
それでいい。
「……計算通りだ」
俺は万年筆を胸ポケットに収めた。
この街の秩序を守るには、正義の味方よりも、手際の良い清掃人の方が役に立つ。
誰の目にも触れず、誰の記憶にも残らず。
俺が葬ったのは、悪意に満ちた未来と、それを生み出した奴らの思い上がりだ。


#日記広場:仕事