眠りの森 〜言葉の雫〜

ようこそ。ここは、胸の奥に深く沈んだ悲しみや、消えない寂しさを、一滴の水滴のようにそっと救い上げる場所です。木々が深い影を落とす静寂の森。そこは、誰にも見せられない孤独な涙や、言葉にならなかった切ない想いが静かに息づく世界です。独りきりで佇む夜、心に溢れる冷たい雫を、壊れやすいガラス細工のように大切に綴ります。果てしない寂しさに寄り添い、あなたの孤独の影をそっと包み込めますように。静かな痛みを分かち合う、終わらない夜の記録です。

掃除の依頼

仕事

深夜、ドアの隙間から滑り込んできたのは、一通の白い封筒だった。
切手も宛名もない。ただ、微かに古い紙の匂いがする。
中身は、たった一枚の「領収書」の写しだ。
ある慈善団体の名で切られた、一見すれば何の変哲もない寄付の記録。
だが、その裏側には、震える手で書かれた小さな数字の羅列が並んでいる。
「……また、数字の掃除か」
俺は万年筆を抜き、インクの残量を確かめた。
依頼主は、この寄付金がどこへ消えたのかを知っている。
善意という名のフィルターを通り、裏社会の洗浄機にかけられ、最後は誰かの「清廉潔白な政治資金」に化ける。
その美しい循環の中に、一滴の毒を混ぜて止めるのが、今回の俺の仕事だ。
武器はいらない。
必要なのは、奴らが最も信頼している「帳簿」の、たった一箇所の矛盾。
それを見つけ出し、彼らの完璧なシステムを内部から食い破らせる。
「……明日の朝には、きれいな空気になる」
俺は封筒を灰皿の中で燃やした。
揺れる炎が、寄付者の名前と、それを食い物にする奴らの影を飲み込んでいく。
感謝も報酬の自慢もいらない。
ただ、朝が来たときに、この街の汚れが少しだけ減っていればそれでいい。


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